はじめに
今回は、2021年3月に基本協定を結び、中野区役所や中野サンプラザ等、中野駅北口駅前再開発が進む、中野駅に関して、実際に現地に行き、定量的なデータを基に分析しました。
中野駅周辺では、既述の通り、既に解体が決まっているJR中野駅北口の複合施設「中野サンプラザ」を中心に再開発が行われます。この再開発は民間活力を利用した拠点施設整備を想定しており、2015年に事業構築パートナー、2016年に事業協力者として、野村不動産などを施工予定者とし、進めてきました。
今後、2022年に都市計画決定、2023年に事業認可を予定し、再開発エリアを「NAKANOサンプラザシティ」と名付け、2028年度中の高さ235メートルのシンボルタワーの完成を目指し、進めています。なお、事業者は野村不動産で、施行者は東急不動産や住友商事、ヒューリック、東日本旅客鉄道等、そうそうたるメンバーで行う予定で失敗は許されない状況となっています。
東京都中野区にある中野駅は際立った個性と魅力を兼ね備えた街です。中でも、アニメや古着などを扱うお店が並ぶ「中野ブロードウェイ」は日本の「サブカルチャーの聖地」として幅広い年代の方から絶大な指示を受けています。
しかし、中野の魅力はそれだけに留まりません。中野ブロードウェイの裏道にある戦後の闇市がルーツとなった「中野飲み屋街」は、酒好きを虜にする味わい深い雰囲気が漂っています。昔ながらの賑わいは、長年多くの方を魅了し続け「中野に行けば何でもできる」と誰もが口を揃えて言うほど注目度が高い人気エリアです。
それを裏付けるように、2020年にスーモが発表した「住みたい街ランキング」では、中野駅は関東の中で14位にランクインし、同ランキングの常連として高い知名度を誇っています。
一方で、中野は本当に住みたい街なのか疑問点もあります。と言うのも、中野は「犯罪が多い」、「治安が悪い」と言う声が絶えないからです。以前、弊社のお客様からも治安を不安視する相談がありました。中野駅南口がちょっと荒れていた時期がありました。今は奇麗になったので問題ないと思いますが・・・。
この記事では、実際に歩いた中野の街の特徴や将来性について詳しく解説していきます。最後まで読み、中野の不動産購入を検討する際の参考にしてみて下さい。
1.東京、中野はどのような都市なのか?
既述の通り、中野は多彩な個性が融合した中野区の代表エリアです。例えば、中野駅周辺にはマルイや中野ブロードウェイなど大型商業施設があり、最新作からレトロ商品まで多くの物が揃っています。人気歌手のコンサートやイベント会場になっている「中野サンプラザ」も多彩な文化を支えている中野の名所です。
また、都内の各主要駅へ30分以内で行ける高い利便性があるにも関わらず、他の地域よりも家賃が低く設定されていることも高い支持を得ている一因になっています。中野駅周辺の一人暮らし向け物件の相場は、ホームズを見ると約10万円以内と都内の中でも比較的安いエリアです。
1-1.東京の主要駅への移動がしやすい交通網
中野を通る電車は千葉と東京を結ぶ「JR中央線や総武線、東京メトロ東西線」が通っています。そのため、東京の主要駅である新宿駅まで約5分、池袋駅や渋谷駅まで約20分で行くことが可能です。さらに、千葉方面へも直通しているため、電車での交通アクセスは良好といえます。
一方で、中野駅発の路線バスでも渋谷駅や新宿駅へも行くことが出来ます。電車とバスどちらでも東京の主要駅に行けることは中野の大きな魅了です。
1-2.有名大学のキャンパスがある学園都市
戦後長らく鎮座していた「警察大学等」が2001年に移転したことで、再開発事業の一つである「中野四季の都市(まち)」が開始しました。それにより、同エリア内に「明治大学中野キャンパス」や「早稲田大学中野キャンパス」などの有名大学や「中野区立中野中学校」が招致されており、都内有数の学園都市になっています。
中野は学問の街として多彩な文化の機能を持つ魅力的な街に変化したのです。その為、今後も学生やファミリー層を中心に賃貸や分譲にニーズがどんどん高まっていくことが見込まれています。
1-3.中野は犯罪が多い街と言われているが実際は?
中野は生活利便性が高く、住みやすい街であることは間違いありません。しかし、飲み屋街や個性的なお店が多く立ち並ぶ繁華街が多いことや人が集まりやすい地域でもあるため、犯罪が多いことでも有名です。
2020年に起きた交際相手に数十ヶ所刺される殺人事件が大々的に報道されたことを受け、中野への移住を不安視する方も少なくありません。繁華街のイメージや事件などの報道もあり、「中野は治安が悪い」印象が強くなっているようです。
1-3-1.警察と行政が連携した取り組みで犯罪率が低下している
実際、中野は治安が悪いのか中野区が発表したデータを基に見ていきます。中野は、2004年に戦後最悪の「犯罪発生件数」を記録しました。この1年間で6,242件の犯罪が発生したことを受け、改善を図るために中野警察署と野方警察署が連携し「中野セーフティーアップ運動」と呼ばれる取り組みを実施しています。
こういった行政の取り組みもあり、年々犯罪発生件数は減少傾向です。実際に、最大件数を記録した2004年に比べて、2019年には家屋侵入以外の窃盗事件は2,337件と半分以下の件数に大幅に減っています。このことから、中野の治安はよくなりつつあると言えます。
2.中野駅周辺で進む再開発
現在、中野駅では2018年に着工し、2024年2月に竣工を予定している「中野二丁目地区市街地再開発」と呼ばれる再開発事業により、オフィス棟や住宅棟などが融合した高層ツインタワーの建設が進められています。
この高層ツインタワーは、地上20階以上の共同住宅用のタワーと商業施設や事業用事務所で構成される計画です。この計画で、さらなる街の活発化が予測されています。詳しい「中野二丁目地区市街地再開発」は、以下の画像でご確認ください。
タワーツインの工事は2026年1月31日が完成予定となり、再開発事業自体は着々と進められています。しかし、現段階では計画が中止になるような事態は発生していませんが、今後大きな変化が起こる可能性もあり得ます。万が一、計画に変更があった際は「中野区ホームページ」に随時記載されますので、確認しておくようにしてください。
3.中野の価値はさらに上昇するのか?
現在、駅前再開発が進められていることや「中野四季の都市」で中野は住みやすい街であることは間違いありません。
しかし、他の再開発地域同様、不動産購入を検討するには将来的な価値の変化がとても重要です。そこで、それぞれのデータを基に定量的な分析を行いながら解説していきます。
3-1.中野区全体の人口の推移
引用:中野区役所ホームページ
上記のグラフは、中野区が発表した「世帯と人口」のデータを基にまとめた中野区全体の人口の推移です。
2007年以降は区全体の人口が増加傾向にありましたが、2011年に発生した東日本大地震をきっかけに一時的に人口が少し減少しています。
しかし、住みやすい街ランキングの常連になっていることや既に高い知名度を誇っていることもあり、その後13年間で約20,000人以上増加している推移です。
3-2.中野区の全体の人口予測
引用:中野区役所ホームページ
将来的に中野の人口がどのように変化していくのか、中野区が発表した「新しい中野をつくる10年か年計画」のデータを基に考察していきます。このデータによると、中野区は都内の人口増加率が最下位であり、2020年をピークに区の総人口は減少していく予測です。
しかし、2020年には中野区が算出した予測データよりも約1万人増加していることや2026年に竣工する中野駅北口のタワーツインの入居などを考慮すると、今後「新しい中野をつくる10年か年計画」の予想を上回ると考えられます。
3-3.交通機関の乗車率から見る利便性
JR東日本が発表している「各駅の乗車人員」のデータを基に、中野駅を通っているJR総武線・中央線の乗車客数の推移を考察していきます。2008年をピークに乗車率は減少傾向に向かいましたが、2013年に明治大学や2014年に早稲田大学が開校したこともあり、2012年以降の乗車人数は増加傾向です。
一人暮らし用の家賃相場が比較的安いことで中野を移住先に選ぶ方が増えていることや5年後のツインタワーの入居開始を考慮すると、今後も上昇傾向で推移することが予測されます。
3-4.中野の土地の価値の推移
中野駅周辺の土地の価値は上昇傾向です。上記は、商業地に区分されている「中野5-1(東京都 中野区中野3-36-15)」のデータを基に、2007年から2020年までの価格をグラフにまとめたものです。
2008年に高値を更新して以降、同年のリーマンショックの影響により約5年間低迷していました。しかし、2014年を機に徐々に価格が上昇しており、13年間で約157万円/㎡増加しています。
さらに、2020年の東京全体の商業地の前年比が6.48%だったのに対し、中野は10.10%と倍近い上昇です。これらのことを考慮すると、立地だけでなく、再開発計画の有無が起因している可能性が高く、今後も土地の価格が上昇傾向に向かうことが期待されます。
3-5.中野駅周辺の中古マンションの価格推移
3-5-1.マンション等住宅価格の推移
最後に、ライフルホームズが発表している「住まいのインデックス」のデータを基に、中野の中古不動産の価格推移を確認します。まずは、下記にグラフをご覧ください。こちらは中古マンションや戸建て、土地の価格をまとめたものです。
引用:住まいのインデックス
現在中野の中古マンションの価格は安定して上昇傾向です。特に大幅な減少は見られず、直近3年間で約4%近く上昇していることが分かります。何事もなければ、今後も上昇していくことは間違いなさそうです。
一方で、戸建てや土地は新型コロナウィルスの影響を受けインバウンド需要が低下したことで、増減を繰り返しています。しかし、社会情勢が安定した時には、戸建てや土地も上昇傾向に向かうのではないかと思われます。
3-5-2.ファミリー向けマンションの価格まとめ
このように堅調に推移している中野駅の住宅価格ですが、更にいくつかのマンションサイトを参考に、一般的なファミリー向けマンションの価格を調べてみました。一旦、ざっくり知るために築年数や最寄り駅までの距離は考慮外としています。
まず、大手仲介サイトであるホームズでは、直近3カ月間に募集を開始された物件を基に平均価格を出しており、70㎡前後の中古マンションの平均価格を5,122万円(242万円/坪)でした。次に、新築マンションの相場に強い、マンションエンジンでは、平均価格9,305万円(439万円/坪)でした。
他にも、国土交通省の売買データを基に価格や相場を教えてくれるウチノカチでは、平均価格7,146万円(337万円/坪)でした。最後に、AIを使った評価で業界を引っ張っているソニー不動産は平均価格5,721万円(270万円/坪)でした。ちなみに、どの相場も2021年11月時点の数字です。
上記を参考に、マンションエンジンの新築価格とその他3つのサイトの平均価格(5,996万円)を単純に比較すると、中古マンションと新築では、約55%もの乖離がありました。
他の地域も同様ですが、将来の家族構成や職場の変化などマンションの再販を踏まえ、個人的にねらい目だと思う、築10年程度の中古マンションを賢く購入する方が万が一のことを考え、安心だと思います。
ちなみに、安心できる中古マンションの購入を検討している40代男性の方へ、
まず、マンションの購入を真剣に検討されている方には、「サラリーマンですら、いつ何があるか分からない世の中ですから、過大なローンは控えたほうが良いと思います」と正直に伝えています。
これまでの50件を超えるローン破綻や債務整理、失敗事例を踏まえ、今後も期待できる都心の再開発エリアなど、安心できるマンション購入の無料相談を始めました。
コンセプトは、「約20年後に来る65歳での定年時の残債や事前完済を理解し、無理のない住宅ローンの返済可能性や途中での売却でもローンが残りにくい安全なマンションの紹介」です。
破綻者の割合が多く、自宅として危険だと思う、収入合算やペアローンを使い、無理やり、借入総額を増やした購入より、年収や年齢、家族構成から間取りや面積を決め、再開発エリアを中心に再販できる手堅いマンションをご紹介しています。
オンラインや対面での面談等、ファイナンシャルプランナーや住宅ローンアドバイザーに話を聞き、60代でのスマートな定年を目指し、ローン返済まで考えたマンションの購入を考えている方は、こちらより、無料相談のご連絡を下さい。
ちなみに、過去中野駅周辺で行った具体的な事例はこちらにまとめておきました。
4.中野の地盤や災害の影響は?
ここからは不動産を購入する上で重要となる災害時の影響について解説します。中野駅がある中野区は、神田川や妙正寺川、善福寺川、江古田川が隣接しているため、大規模な地震や大雨などの災害が発生した際に氾濫による浸水などの被害が懸念されています。
とはいえ、中野区が発表した「水害ハザードマップ」によると中野駅周辺はほとんどの地域が浸水による影響を受けることはありません。ただし、川に近いエリアや場所によっては0.5m〜3mの浸水被害を受けると予測されているため、しっかりと中野区の防災マップを確認し、マンションを検討することが重要です。
一方で、中野で予測される災害による被害はそれだけではありません。地震情報サイト「JIN」が発表した「東京都中野区中野・地域別危険度」を見ると、中野1丁目の地盤が軟弱と診断されています。そのため、地盤を考慮して購入の検討するのであれば、中野2丁目〜6丁目内がおすすめです。
4-1.中野のハザードマップや対策
引用:中野区役所ホームページより
中野区では、隣接する川の氾濫や地震などの災害時に備えてエリア別に「中野区ハザードマップ」を作成しています。中野区ハザードマップでは、「中野区で想定されている水害について」と中野駅周辺エリアとなる「昭和と東中野」の浸水予想が記載されています。東中野エリアの画像を見ると、川付近の地域以外は大抵の場所が影響を受けないことが分かります。
しかし、場所によっては0.5mや1m浸水することを想定されているため、不動産を購入する際は注意が必要です。「浸水を想定されていないエリア」か「3階以上の不動産を購入するのが無難です。
5.多彩な文化を発信する中野駅、継続中の再開発で今後さらに価値が上昇する?
以前から人々の注目を集めている中野は、アニメや学問、音楽など多彩な文化を後世まで継承している人気の高い街です。一方で、現在進行している再開発事業により町全体の価格が高まることを期待されているという一面もあります。しかし、水害による浸水の影響や治安が悪いと懸念されていることも事実です。
そのため、この記事では中野の現状や将来的な価値、懸念点まで詳細に分析し解説してきました。他の地域と比較し、相対的に人を引き付ける力がある中野駅周辺の不動産購入を検討する際の参考にしてみてください。
私が現地に行き、内容をまとめました。
国立大学在学時、2000年に学生起業に憧れ事業をスタート。2003年に社会人になり、今まで8社の事業に関わるも失敗。2006年より、大手証券や総合不動産会社を経て、2012年に再開発と住まい問題の解決をテーマとした不動産会社、(株)リビングインを設立し、賃貸・売買仲介や管理を行う。
プライベートでは、1997年以降8回の引っ越しと18回の自宅や投資用不動産の売買を経験。2020年までの8年間で300室以上のお引っ越しと180件を超す、住まいのトラブルに対応。
保有資格は不動産鑑定士補、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、2級ファイナンシャルプランニング技能士、住宅ローンアドバイザー、防犯設備士他。1978年生まれ、趣味は読書と素潜り。
*頂いたコメントを参考に、今後の活動を改善していきます。
関連内容はこちら
住まいのトラブル無料相談はこちら
住まいのトラブル無料相談では頂いた内容を社内で共有し、48時間以内に対応や判例を回答しています。なお、必要な場合には民事に強い弁護士や建築士などの専門家と相談し、ご紹介いたします。費用が発生する場合には、必ずご連絡いたします。
*2012年の創業以来、緊急時以外、不要な売り込み等で電話連絡する事はありません
返信を残す
Want to join the discussion?Feel free to contribute!