0.はじめに
0-1.首都圏の新築マンションの平均価格は6,750万円
不動産経済研究所が2021年11月18日に発表したデータによると、首都圏(1都3県)の10月の新築マンション平均価格は6,750万円だそうです。
これは2020年から10.1%も上昇し、2021年全体を通してもバブル期を超えて、最高値を更新する見込みと言われています。
1都3県での平均価格が6,750万円となると、23区内、特に山手線の内側や沿線の新築マンションは、もはや普通のサラリーマンでは簡単には手が出せない価格です。
0-2.東京でマンションを買うなら再開発エリアを行政区別にチェック
これまで書いてきた通り、東京23区内で現実的に購入できて、かつ資産価値の保全、できれば値上がりを期待するなら、再開発エリアの中古マンションを選ぶのが賢い選択と言えます。
しかし、一言に再開発エリアと言っても実態は様々で、ひとつ一つ事業規模や内容を検証しておく方が良いと思います。
過去のデータから、値下がりしにくいポイントは、より都心(高単価)、より大きく(世帯数だけでなく、施工床の面積が大きい)です。
他にも、ありますが、まずはこの二つを抑えるといいと思います。ここでは再開発エリアのマンション購入時の参考になるよう、23区別の中古マンション値上がり率や学区別の値上がり率をランキング化しました。
また、値上がり率と再開発事業の相関関係も比較できるようまとめたので、マンション購入時の参考にしていただければと思います。
1.東京23区別中古マンション値上がり率ランキングを考察
まず、住まいサーフィンが発表したデータから、東京23区別中古マンション値上がり率ランキングとして並べ替えました。ここでは、2003年から、執筆時点で最新データとなる2018年までの期間が対象です。
新築時と中古でのマンション売り出し価格の比較からその値上がり率が算出されています。
1-1.東京23区別中古マンション値上がり率ランキング
23区の単純平均で12.7%価格が上がっています。2003年から15年も掛けて、マイナスは正直つらいですが、一般的に人気になる世田谷区や杉並区が大した上昇を見せていないのが少し気になります。
トップ10に入った区を見ると、時代の流れなのか、若い方に人気の都心立地や都心へのアクセスの良さが価格上昇のポイントになったのかもしれません。
1-2.中古マンションの値上がり率が高い条件は「都心へのアクセス」
いわゆる「都心3区」と呼ばれる「千代田区」、「港区」、「中央区」、このほか山手線の停車駅が多い「豊島区」、「渋谷区」、「台東区」、「新宿区」、「品川区」などが順当に上位にランキングされました。
JRと地下鉄と併せると9路線も走っていて、「東京」や「上野」にも出やすい立地的利便性が高い「墨田区」が6位にあるのも印象的です。いずれの区にしても、「都心へのアクセスのしやすさ」がキーポイントになっていると思います。
一方で、東京都心の値上がりが声高に叫ばれて久しいにもかかわらず、「練馬区」の0.0%をはじめ、「足立区」、「葛飾区」、「江戸川区」ではマイナスを記録しています。
迷惑をかけず、人生を詰むことがないよう、万が一の時に売却し、住宅ローンを完済でき、やり直しができることが不安を解消する一つの目安なので、東京23区と言えど、エリア選びを間違えれば、マンションの資産価値は下がってしまう可能性があります。
その為、立地やマンションを購入するということを十分に考えて、動く必要があると思います。
>>買って10年、再開発で有名な豊洲のマンションの売却事例を基に、「住宅ローンが残っていても自宅を売却できるのか?」についてまとめました。
2.東京23区、行政区別中古マンション値上がり率トップの学区
続いて、東京23区別に中古マンション値上がり率トップの学区(小学校)を値上がり率が大きい順でランキングにしました。
住まいサーフィンが発表した2018年のデータを並べ替えました。
また、分かりやすいよう前章の23区別中古マンション値上がり率ランキングの結果も併せて掲載しました。
2-1.東京23区別、中古マンション値上がり率トップの学区ランキング
トップ5の区に関しては学区関係なく上昇していました。ただ、9位の桃井第三小学校や12位の大森第五小学校、15位の二子玉川小学校等は区の上昇をはるかに上回っており、人気の公立小学校の学区と言う事で上昇している可能性が大いにあります。
2-2.学区と23区別の中古マンション値上がり率は相関関係が見られる?
前章のランキングと比べると、値上がり率の大きい学区が含まれる行政区(東京23区)自体が、値上がり率が大きい傾向にありました。
特筆すべき例外としては、23区別では6位にランクインした「墨田区」の「柳島小学校」が学区別で14位、23区別では7位だった「豊島区」の「朋有小学校」で17位であることです。
これら2つのケースで学区別ランキングと差が出た原因は以下のように考えています。
・墨田区:値上がり要因が東京スカイツリーの開業を中心としたものであること。
・豊島区:値上がりしやすい商業の中心地である「池袋駅」と、住宅地が山手通りで隔てられていること。
観光地や商業地の大きな値上がりが区全域の平均値を上げているだけで、主に小学校がある住宅地への影響は小さかったものと思われます。とはいえ、15年間で14.0%と9.7%も値上がりしているので、他の地域と比べ、東京23区の値上がり率は突出していると言えます。
>>マンション購入時の返済不安を減らすなら、資産価値を重視し、再開発が絶対条件か?
3.行政区ごとの中古マンション値上がり率と再開発エリアの関係
東京都都市整備局が公表している再開発事業のデータと、行政区の中古マンション値上がり率のデータを付き合わせて、その関係を考察しました。
3-1.23区別値上がり率ランキングと再開発事業数の相関関係
※台東区は再開発計画認可数について、東京都都市整備局によるデータの記載がなく、0とさせていただきました。
2003年以降、事業計画が認可された再開発事業について、23区別の値上がり率ランキングと事業数をまとめ、両者の相関関係を調べました。
3-2.23区別値上がり率ランキングと再開発事業数は相関性が高い
完全なる相関関係があるとは言えないまでも、概ね23区別の中古マンション値上がり率ランキングと、再開発事業計画認可数は相関関係があると言えると思います。
特に、値上がり率30.6%で1位の「中央区」は再開発事業計画認可数が20、同じく、値上がり率29.9%で2位の「港区」は再開発事業計画認可数が24と突出しています。
一方で、「台東区」は再開発事業計画がないにもかかわらず、中古マンション値上がり率ランキング3位でした。ただ、「台東区」の値上がりは浅草や上野をはじめとする観光地や商業地の資産価値上昇が原因と考えられます。
もともと観光地としてのポテンシャルが高かったが東京23区内ではお手頃な価格帯のマンションが多かったところに、インバウンド需要で中古マンションが民泊向け等値上がりしたと思われます。
その為、2021年現在、インバウンド需要がほぼなくなっており、今後は風向きが厳しくなるかもしれません。それでも、一旦、ウイルスが落ち着き、国境が再度開かれれば、戻ってくる可能性は大いにあります。
4.今後注目しておきたい再開発事業
4-1.現在〜2030年頃までに竣工が見込める注目エリア
計画決定がされており、現在再開発中、および概ね2030年頃までに竣工予定で、マンションの資産価値上昇という視点から、注目しておきたい再開発エリア・事業をピックアップしました。
4-2.再開発は事業数だけでなく、その規模にも注目
ポイントとして、記述しましたが、ここまでは再開発計画事業認可数に着目してきましたが、数だけでなく規模も確認しておくことをおすすめします。
なぜなら、計画数が少なくても、一つの再開発が街の風景を一変させるような大規模なものであれば、それだけで十分に資産価値の上昇が見込めるからです。
そうした意味では、いわゆる下町エリアが注目に値します。
「墨田区」や「大田区」、「板橋区」、「江東区」、「江戸川区」、「葛飾区」などは現在、大きな再開発が予定されており、中古マンションの値上がりが期待できるので個人的には狙い目だと思います。
4-3.再開発エリア内の購入が非現実的な場合
再開発エリアの中古マンションは値上がり期待があるとは言え、すでに値上がりが始まっていて、普通のサラリーマンでは購入が難しいケースも多いと思います。
もし、再開発が行われる駅が予算内で購入できる場合は、駅から徒歩10分以内の中古マンションがおすすめです。予算的に厳しいようであれば、再開発が行われる隣の駅から徒歩6分以内の中古マンションを探してみてください。
というのも、近年、最寄駅からの距離が短いほど、中古マンションの資産価値が上がる傾向が加速しているからです。その境界が将来的な事も考え、「徒歩6分以内」になっています。
また、再開発エリアやその周辺の中古マンションを探す際の注意点として、再開発は計画変更もありうることをリスクとして認識しておくことも大切です。そのため、値上がりが始まる前の初期に購入すればするほど、計画変更のリスクは高まるので購入のタイミングは慎重に選んでください。
5.東京の再開発エリアのマンションと行政区別学区別値上がりランキングの関係まとめ
ここまで見てきた通り、2003年から2018年までの東京23区別、中古マンション値上がり率ランキングトップ5は下記のようになり、高い値上がり率を示しました。
・1位:中央区(30.6%)
・2位:港区(29.9%)
・3位:台東区(25.3%)
・4位:千代田区(24.1%)
・5位:渋谷区(23.8%)
この情報を基に、23区別の中古マンション値上がり率トップの学区をランキング化すると、トップ5は下記のようになり、23区ごとの値上がり率とある程度の相関性が見られました。
・1位:南山小学校(港区、33.9%)
・2位:長谷戸小学校(渋谷区、26.4%)
・3位:富士見小学校(千代田区、25.8%)
・4位:元加賀小学校(江東区、24.4%)
・5位:小山小学校(品川区、24.0%)
23区別の中古マンション値上がり率ランキングと再開発事業計画認可数は概ね相関関係がありました。特に、値上がり率が大きい1位の「中央区」と2位の「港区」は、再開発事業計画認可数が突出しています。
なお、現在再開発中、および概ね2030年頃までに竣工予定の下記再開発エリアは注目しておきたいです。
・港区
・中央区
・文京区
・新宿区
・中野区
この他、記述の下町エリアも大規模開発が予定されています。なお、下町エリアの中古マンション価格は、山手線内エリアに比べると手が届きやすいと思います。
もちろん、中古マンションの値上がり期待は再開発エリアだけでなく、最寄駅や立地、マンションそのものの構造や管理状態など様々な要因が関係してきます。購入の際は担当者と話、よく比較・検討して、くれぐれも“負動産”を購入し、人生を詰むことがないようにしてほしいと思います。
ちなみに、安心できる中古マンションの購入を検討している40代男性の方へ、
まず、マンションの購入を真剣に検討されている方には、「サラリーマンですら、いつ何があるか分からない世の中ですから、過大なローンは控えたほうが良いと思います」と正直に伝えています。
これまでの50件を超えるローン破綻や債務整理、失敗事例を踏まえ、今後も期待できる都心の再開発エリアなど、安心できるマンション購入の無料相談を始めました。
コンセプトは、「約20年後に来る65歳での定年時の残債や事前完済を理解し、無理のない住宅ローンの返済可能性や途中での売却でもローンが残りにくい安全なマンションの取得」です。
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私が現地に行き、内容をまとめました。
国立大学在学時、2000年に学生起業に憧れ事業をスタート。2003年に社会人になり、今まで8社の事業に関わるも失敗。2006年より、大手証券や総合不動産会社を経て、2012年に再開発と住まい問題の解決をテーマとした不動産会社、(株)リビングインを設立し、賃貸・売買仲介や管理を行う。
プライベートでは、1997年以降8回の引っ越しと18回の自宅や投資用不動産の売買を経験。2020年までの8年間で300室以上のお引っ越しと180件を超す、住まいのトラブルに対応。
保有資格は不動産鑑定士補、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、2級ファイナンシャルプランニング技能士、住宅ローンアドバイザー、防犯設備士他。1978年生まれ、趣味は読書と素潜り。
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