0.はじめに
この記事では購入後、値上がりしやすいとして近年注目を浴びている再開発エリアのマンションについて、過去の実績を踏まえ、今後の展望をまとめました。
いくら期待値が高く、人気化する事が多い、再開発エリアのマンションなら、全部値上がりするわけではないので、購入を考えている方は慎重に考えてほしいと思います。
0-1.万が一の時にも、路頭に迷わないマンション選び?
そもそもマンションの購入は、万が一の時にも生活を守れるようにリセール(転売)を意識して選ぶことを個人的にはお勧めしています。
というのも、私たちは2012年の創業以来東京の再開発とトラブルのデータ化を行い、その間、300件を超える住まいのお悩みやトラブルの相談を受けてきました。
その中で、明らかにこの2年ほどで収入減による住宅の売却相談が増えています。もちろん、全てが経済的事情が売却理由ではないにせよ、マンションを売るのであれば、1円でも高く売りたいのが本音だと思います。
しかし、同じ築年数や近いエリア、似たような間取りであっても、売却額に大きな差がつくケースが後をたちません。その違いの共通項をざっくりとまとめると、「地価が上がっている」、「新築プレムアムの価格転化がない中古で購入した」ということです。
0-2.将来的にも安心して生活できるマンション選びの条件
つまり、将来の安心を見据え、マンションを購入するのであれば、「地価が上がりやすい、再開発地域にある中古」が現状、最良の選択ということになります。新規供給が続いている環境化の為、中古マンションは選択肢も多くなっています。希望の沿線や駅、間取りの物件に出会いやすいメリットもあります。
40代の方がこれから35年の住宅ローンを組んだ場合、完済できるのは70代です。その年齢まで今と同じぐらい稼ぎ、毎月ローンを返済していくのは本当に大変です。その為、私たちは、退職金や頭金の有無、そして、毎月キチンと積み立てを続けられる強い意志があるか、無いかでどのような物件を購入すれば良いか判断しています。
例えば、このグラフは毎月の返済を押さえたマンションを購入し、その分、毎月投資信託に積み立てを行った場合をシミュレーションしたものです。きちんと毎月積み立てることが出来れば、24年後、すなわち、60代で住宅ローンが完済できるだけのお金が貯まり、ローンの返済や老後の心配を最小化する事が出来ます。
これらを加味した上で、本当に再開発エリアの中古マンションは値上がりの期待ができるのか、各データを分析し、まとめました。
1.首都圏再開発マンション、中古価格の過去の実績
まず、いくつかの中古マンションのリセール価格、値上がり等のデータを分析し、まとめました。
1-1.首都圏では過去10年で51.9%の中古マンションが値上がり
民間調査機関の東京カンテイが2021年5月6日に公表したデータによると、「調査対象の首都圏412駅のうち、51.9%にあたる214駅のエリアで、過去10年での中古マンション価格が値上がりしている」ことがわかりました。
ちなみに、首都圏全体におけるリセールバリュー(転売価格)の平均は101.9%であり、平均して約2%値上がりした(資産価値が上がった)と言えます。一方で、10%以上値下がりしたエリアも24.6%あり、エリア選びが重要なことがよく分かると思います。
1-2.中古マンションの値上がりが集中したエリア
では、過去10年で中古マンションの値上がりした地域はというと、山手線の内側と外周に圧倒的に集中しています。ターミナル駅で言えば、池袋、新宿、品川エリアのマンションはほぼ全てが値上がりしたと言っても過言ではありません。
逆に、首都圏であっても、大宮から北、西船橋から東、横浜から南、立川から西といったエリアでは、10年間で10%以上値下がりしている物件の方が多くなってきます。
ただし、一概にエリアだけで判断できないことも多く、一駅違うだけで将来の資産価値に大きな影響を及ぼすケースも多いです。例えば、「武蔵小杉駅」は過去10年で値上がりしていますが、横浜方面に2駅行った「日吉駅」では10%以上値下がりしています。
しかし、さらに横浜方面に1駅ずつ進んだ「網島駅」、「大倉山駅」では値上がり、このまま「横浜駅」に近づくにつれて値上がりしていくかと思えば、さらに「横浜駅」寄りの「菊名駅」で値下がりという状況です。
つまり、ターミナル駅や有名なエリアに近いからと言って、値上がりするとは限らないということを踏まえ、マンション選びを慎重にしていく必要があります。
1-3.首都圏中古マンションの過去10年値上がりトップ10
首都圏の中古マンションが過去10年で平均約2%近い値上がりをしたのは、2020年のコロナショックによるマンション供給数の計画的な減少、その結果、住宅需要の高まりという、ギャップによるものでした。
メディアでは、テレワークや地方移住がもてはやされましたが、実際にローン破綻案件の売却を行っている経験から、結局は都心へのアクセスが良く、生活の利便性が高くて、将来的な資産価値の維持上昇も期待できる首都圏に住みたいというニーズは根強く、売却時の流動性も高いと考えます。
このような背景の中、首都圏中古マンションの過去10年値上がりトップ10は下記のようになっています。
・1位:代官山駅(164.3%)
・2位:溜池山王駅(145.8%)
・3位:桜木町駅(141.2%)
・4位:高輪台駅(140.8%)
・5位:水道橋駅(140.7%)
・6位:麻布十番駅(139.9%)
・7位:新井薬師前駅(136.0%)
・8位:明治神宮前駅(135.1%)
・9位:浜町駅(135.0%)
・10位:田原町駅(134.9%)
参照:東京カンテイ
まず、3位の「桜木町駅」以外はいずれも23区内の駅です。また、代官山駅の164.3%は突出していますが、それ以外も30%以上の値上がりと高い資産価値上昇率を示しています。
なお、このデータでは、22位の「不動前駅」まで30%以上の値上がりという凄い結果でした。
1-4.首都圏で値上がりした大規模再開発マンショントップ5
続いて、不動産調査会社マーキュリーが2019年に発表した、大きく値上がりした首都圏の再開発マンション物件について調べてみました。2004年以降に分譲された、再開発マンション164物件の中古流通価格ついて調査されたものです。
その結果、トップ5は以下のマンションとなりました。
・1位:新橋プラザビルコアレジデンス(港区)→213%
・2位:ナビューレ横浜タワーレジデンス(横浜市)→212%
・3位:豊洲シエルタワー(江東区)→195%
・4位:アークヒルズ仙石山レジデンス(港区)→176%
・5位:パークタワー横浜ステーションプレミア(横浜市)→170%
参照:日本経済新聞
個別の中古マンションでは、港区エリアと横浜エリアにある物件が強い結果となりました。「新橋プラザビルコアレジデンス」と「ナビューレ横浜タワーレジデンス」は値上がり率が100%超え、つまり購入時の2倍以上の資産価値になっています。
1-5.再開発マンションの値上がり率は90%
1ー4.のデータからも、購入時の物件選びがいかに重要かがわかると思います。購入時は多少条件や景気が悪くても、将来的な地価やエリアの値上がり期待を見越して、購入を決められるかが他者と差をつける要因となります。
なお、上記のデータでは調査対象の大規模再開発マンションで中古流通があったものの内、90%で値上がりしていることがわかっています。このことから、大規模再開発マンションの購入は将来的な値上がりを期待しやすいと言えます。
2.中古マンション価格2021年最新の現状
再開発エリアの 中古マンションが将来的な値上がりを期待できる可能性は高いとは言え、今、手の届く状況とは限りません。そこで、2021年最新データから現状をまとめました。
2-1.首都圏の中古マンション価格は4,000万円目前
東日本不動産流通機構によると、2021年9月の首都圏中古マンションの平均成約価格は約3,985万円と、4,000万円近い状況です。コロナショックの2020年と比べると7.9%も上昇しており、急な値上がり感もあります。
中古マンション価格が上昇したのは、新築マンションの平均価格が値上がりしたためです。
現在、新築マンション市場を盛り上げているのは、江戸川区や江東区、墨田区、板橋区など山手線の外周エリア、環状七号線内と言われています。
いわゆる「下町」と呼ばれるこれらのエリアは、近年再開発が活発に行われており、そこで分譲される高層マンションの価格は、3LDKで8,000万円前後のものが多くなっています。つまり、「再開発エリアのマンションの約半値が中古マンション価格となっている」わけです。
2-2.下町エリアの新築マンションが中古マンション価格を引き上げている理由
中古マンションの価格が新築マンション価格の影響を受けるのはわかりますが、なぜ都心部ではなく下町エリアと関連しているのでしょうか?
それは「都心部の新築マンション価格が上がりすぎた」からです。
東京都心の新築マンション価格は過去10年以上値上がりし続けており、普通の会社員が購入できる価格をすでに突破してしまいました。例えば、港区など都心部の自己使用や長期所有のニーズが高い3LDKの間取りでは、2億円を下りません。
2億円のマンションを購入できる人はごく少数ですから、デベロッパーもガンガン建設するという訳にはいかず、必然的に供給数を減らさざるを得ません。
このように、実はコロナショック以前から東京都心の新築マンション供給数は減少傾向にあり、自然と山手線の外周の下町にある再開発エリアで新築マンションが増えていたのです。
正直、健全なマンション市場、値上がり状況とは言えません。
それでも、住むところは必要であり、またなおのこと、できるだけ資産価値の維持上昇を期待できるマンションを選ぶことが重要と思います。
2-3.2ー3.マンションは将来の期待値と収入の見込みをシビアに検討する
ここまで再開発エリアの中古マンションは、将来の値上がりや資産価値の維持が期待できると述べましたが、それでも平均価格は4,000万円近くするので慎重な姿勢も大事です。
特に、今は住宅ローンがつきやすい環境なので、早く売りたい不動産会社が「ローンがおりるので、大丈夫ですよ!」と安易に購入を勧めてくるケースもあると思います。しかし、住宅ローンの返済は数十年続き、定年後も続くケースもあります。
今回のコロナショックでわかったように、今の収入では返済できても、この先どうなるかわかりません。もともと収入の変動が激しい人は、なおのこと途中で返済ができなくなってしまうこともあり得ます。厳しいようですが、長い人生を見据えシビアに検討してほしいと思います。
再開発エリアのマンションを購入する際の参考として下記にまとめていますので、ぜひにしてください。
>>より資産価値が落ちにくい、再開発エリアのマンションの7つの条件
3.再開発エリアのマンション購入後の値上がりについてまとめ
3ー1.首都圏の再開発エリアのマンション値上がり状況について
首都圏の再開発エリアのマンションについては、下記のような傾向が見られました。
・51.9%のエリアで過去10年での中古マンション価格が値上がりした。
・値上がり幅が大きかったエリアトップ10のうち、桜木町駅を除いては全て23区内だった。
・首都圏全体でのリセールバリュー(転売価格)の平均は1.9%の上昇で、平均して約2%値上がりした(資産価値が上がった)と言える。
・大規模再開発マンションで中古流通があったものの内、90%で値上がりしている。
・値上がり幅の大きいマンションの共通項として、「地価が上がっている地域」にあり、「新築プレムアムの価格転化がない中古で購入した」があげられる。
以上のことから、今後も再開発エリアの中古マンションは値上がりを期待できると考えます。
3ー2.マンション購入の際、リセール(転売)を意識すべき3つの理由
ここまで説明してきた根拠を踏まえ、私たちは「マンションを購入する場合、万が一の時にも生活や家族だけは守れるよう、リセール(転売)を意識して選ぶ」ことをお勧めしています。その理由は下記の通りです。
・同じ築年数、近いエリア、似たような間取りであっても、売却額に大きな差がつくケースがあるから。
・首都圏の中古マンションの平均価格は4,000万円近くに達しており、慎重に選ばないと将来の返済が厳しくなる危険性があるから。
・今は融資・ローンがつきやすい環境で、個人の支払い能力以上の住宅ローンを組み、先々万が一の収入の減少で苦しくなる可能性もあるから。
このように首都圏の再開発エリアにある中古マンションを選ぶことは、「将来の住宅ローン破綻のリスクを減らし、安心して生活を維持できるという点で期待が大きい」と言えます。新築に比べて、割安で選択肢が多いため、自分好みにリフォームやリノベーションが出来るのも魅力的だと思います。
一方で、繰り返し述べたように、再開発エリアの中古マンションでも値下がりする物件もあります。また、融資がつきやすい今、無理をして住宅ローンを組んでしまった場合、いくらマンションが値上がりしても生活が苦しくなってしまうリスクがあります。
マンション購入の際はエリアとマンションそのものの資産価値に加え、ご自身の収入の見込みも踏まえて慎重に検討してほしいと思います。
4.安心できる中古マンションの購入を検討している、私たちと同じ、40代男性の方へ、
2015年からこれまでの50件を超える住宅ローンを中心に債務整理や失敗事例を踏まえ、今後も期待できる都心の再開発エリアなど、無料の安心できるマンション購入相談の受付を始めました。
コンセプトは、「約20年後に来る65歳での定年時の残債や事前完済を理解し、無理のない住宅ローンの返済可能性や途中での売却でもローンが残りにくい安全なマンションの取得」です。
破綻者の割合が多く、自宅として危険だと思う、収入合算やペアローンを使い、無理やり、借入総額を増やした購入より、年収や年齢、家族構成から間取りや面積を決め、再開発エリアを中心に再販できる手堅いマンションをご紹介しています。
ファイナンシャルプランナーや住宅ローンアドバイザーに話を聞き、60代での賢いリタイアを目指し、ローン返済まで考えたマンションの購入を考えている方はこちらのページより、無料相談をご利用ください。
最後に、購入後に損をしないため、購入の際はキチンと中古マンションの価値を的確に評価でき、再開発エリアについての情報を豊富に持ち、信用できる仲介業者や担当を選ぶようにしてください。
私が現地に行き、内容をまとめました。
国立大学在学時、2000年に学生起業に憧れ事業をスタート。2003年に社会人になり、今まで8社の事業に関わるも失敗。2006年より、大手証券や総合不動産会社を経て、2012年に再開発と住まい問題の解決をテーマとした不動産会社、(株)リビングインを設立し、賃貸・売買仲介や管理を行う。
プライベートでは、1997年以降8回の引っ越しと18回の自宅や投資用不動産の売買を経験。2020年までの8年間で300室以上のお引っ越しと180件を超す、住まいのトラブルに対応。
保有資格は不動産鑑定士補、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、2級ファイナンシャルプランニング技能士、住宅ローンアドバイザー、防犯設備士他。1978年生まれ、趣味は読書と素潜り。
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*2012年の創業以来、緊急時以外、不要な売り込み等で電話連絡する事はありません
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