不動産市況ウォッチ

2021/04/29

日本を代表するポップカルチャーの聖地秋葉原、再開発事業によりさらに国を代表するエリアとなるのか?

今回は、今後も再開発が続く、秋葉原駅周辺について、過去のデータを踏まえ、まとめました。

1996年に土地区画整理事業が決定し、都市基盤整備の第一歩が踏み出されました。その後、2016年には秋葉原駅付近の地区計画が決定されています。2020年には、外神田一丁目南部地区が街並み再生地区に指定されました。

オタク文化で世界的にも知名度の高い秋葉原。東京都千代田区と台東区をまたぐ位置にある秋葉原は『日本を代表するポップカルチャーの聖地』として、国内だけでなく海外からも若い世代を中心に絶大な支持を受けています。別名『オタクの聖地』とも呼ばれており、アニメや漫画、ゲームなど一般大衆に広く愛される文化が街中に溢れているためです。

これらのポップカルチャーは日本にある和食や華道、歌舞伎など世界に誇る様々な文化の中で圧倒的な注目を集めています。このため、外務省では多面的な日本の魅力を発信する重要なツールに位置付け、ポップカルチャーの聖地である秋葉原を中心に国際的な観光や交流の活性化を図っているのです。

実際に、東京都が発表した『平成30年 国・地域別外国人旅行者行動特性調査 結果概要』を見ると、東京を訪れた外国人が訪問した場所統計で5位を獲得したほど、人気の高いエリアであることが見受けられます。

しかし、住宅地としてみるには様々な懸念があるのも事実です。例えば、秋葉原では過去に大きな事件が発生しており、治安に対して不安を感じる方は少なくありません。さらに、駅周辺が観光地として発達しているため、「安心して住めるのだろうか?」と疑問を持つ方も多いです。

そこで、この記事では秋葉原の利便性や将来性、街の特徴について不動産を購入する観点から詳しく解説していきます。これから不動産の購入を検討している方は、最後までは読んでぜひ参考にしてみて下さい。

1.東京、秋葉原はどのような都市か?


通称『アキバ』の名称で親しまれている秋葉原は高度経済成長と共に電機製品を扱う店が急増したことで『日本最大の電気街』として、世界中にその名をとどろかせました。

「秋葉原で手に入らない電化製品はない」と言われるほど、秋葉原の電気街にはありとあらゆる電子機器や部品が揃っています。また、2005年に電子掲示板『2ちゃんねる』に投稿されたオタクと美女の恋愛ストーリー『電車男』がドラマ化したことも幅広い層から注目を集めた一因です。

当時はまだオタクに対するネガティブなイメージを持つ方が多かったため、秋葉原への印象もあまり良くありませんでした。しかし、このドラマが放映されたことでオタクや秋葉原へのイメージが払拭され、街が活性化していったという経緯があります。

1-1.世界中から人が集まる観光名所

秋葉原は電気街に限らず、人気の観光名所が多くあります。例えば、フィギュアや漫画、電気製品などが揃っている『ラジオ会館』や国民的人気アイドルの『AKB48劇場』などです。その他にも音楽やアニメ、メイドカフェなど、1日では見て回れないほど個性的な商業施設が点在しています。

しかし、秋葉原の成長は未だに止まっていません。

現在千代田区が進めている『外神田一丁目1・2・3番地区第一種市街地再開発事業』により、秋葉原駅周辺の商業施設や文化施設と住宅が調和した魅力と活気ある街へと変貌を遂げようとしています。このため、今後もさらに街の魅力が高まることが予見されます。

1-2.5線路が通っている利便性の高い街

秋葉原駅は5線路が通る、非常に利便性の高い街です。具体的には、『JR山手線』、『JR京浜東北線』、『JR総武線』、『東京メトロ日比谷線』、『つくばエクスプレス線』が通っており、都内の主要都市はもちろん千葉県や埼玉県の駅まで乗り換え無しで行くことができます。

中でも、JR山手線は東京駅や品川駅、新宿などオフィス街が集中している駅に20分以内で行けるため、通勤や通学時の負担を最小限に抑えることができます。

そのため、Mansion Review上を見ると「交通アクセスが非常に良い」と言った口コミが多く、利便性が高い街であることは疑いの余地がありません。

1-3.秋葉原の治安が悪いと言われているが実際は?

10年以上前になりますが、2008年6月に国内を震撼させた『秋葉原通り魔事件』が起こったことで、秋葉原の治安に不安視する声が絶えません。

この事件では、残忍な犯行により17人もの方が被害に遭ったうえに、当時大々的にメディアに取り上げられため、現在も多くの方の記憶に残っています。このため、「治安が悪いのでは?」と疑問視することは当然です。

では、実際に秋葉原の治安は悪いのか、秋葉原駅を管轄としている万世橋警察署が発表した『過去5年間の刑法犯の推移』のデータを基に確認します。

参考:万世橋警察署より

過去5年間に秋葉原で発生した犯罪件数は大幅な減少は見られません。

さらに、内訳を見ると2021年現在空き巣などの『侵入窃盗犯罪』が前年よりも件数が増えています。これらのことから秋葉原駅周辺はまだまだ治安に不安が残る地域だと言えます。

1-3-1.街全体で安心・安全に向けたまちづくりに励んでいる

千代田区では2008年に発生した『秋葉原通り魔事件』が起こったことで、同年に『まちの魅力向上に向けた道路等の公共空間活用検討会』と呼ばれる地域団体が設立されました。

警察や学識経験者、商店街、電気街などの地域団体、企業、消防などで構成されており、秋葉原の住民や来街者の安全と安心を守る役割を果たしています。

さらに、2010年には『秋葉原協定』と呼ばれる、秋葉原を利用する全ての人を対象とする独自のルールを制定しました。この協定の中には、『街のパトロールを積極的に行う』ことや『犯罪行為を見かけたらすぐに通報する』と言った内容が明記されています。

このように地域住民に限らず、街を利用する全ての人に向けた防犯意識を高める取り組みを行なっているため、今後街の治安は改善されていくと期待されています。

2.秋葉原の再開発地域

2017年1月に『神田練塀町地区第一種市街地再開発事業』による、高層ビルが完成しました。内訳は地上21階、地下2階の住居と商業施設、事業用事務所といった構成です。

この高層ビルが建設されたことで、人気が少なく閑散としていたエリアが活気を取り戻しました。
具体的な『神田練塀町地区第一種市街地再開発事業』の詳細は、下記の画像をご確認下さい。

引用:住友不動産株式会社より

秋葉原駅周辺の再開発は先ほど紹介した高層ビルだけに留まりません。千代田区が発表した『万世橋地域のまちづくり』を見ると、万世橋地域の下町風情と電気街の先端性を調和した活気あるまちづくりが行われています。

明治期から始まる『東京一の盛り場』と言われた街の特性を活かし、人や物、情報の拠点を生む街として、地域の賑わいや歴史の継承を目指しているのです。

『万世橋地域のまちづくり』の具体的な内容は、以下の画像をご覧ください。

引用:千代田区より

『万世橋地域のまちづくり』は、外神田1丁目〜6丁目、神田淡路町1〜2丁目、神田須田1丁目、神田駿河台1(一部)・3・4丁目が対象となっています。それぞれの地域の特性や環境に合わせた街づくりが進められているため、秋葉原は将来的に見ても街全体が活気に満ちた街になることが予想されます。

ただし、再開発事業について台東区地域整備第一課に問い合わせたところ「現在台東区秋葉原では、駅周辺の再開発事業の計画は無い」と返答をもらいました。そのため、秋葉原の再開発事業について問い合わせる際は、『千代田区役所』に確認を行うようにしてください。

3.秋葉原の価値はさらに上昇、安定するのか?

世界中から絶大な支持を受けている秋葉原は、現在進められている再開発事業により今後さらに注目を集める街になるはずです。しかし、不動産を購入するとなると、それだけの情報では決めるべきではありません。

将来的に価格の上昇が見込めるかどうかや、どのように変化して行くのかを知ることが重要です。そこで、ここでは、それぞれのデータを基に定量的に分析を行いながら解説していきます。

3-1.千代田区・台東区全体の人口の推移

参考:台東区及び千代田区役所HPより

千代田区が発表した『住民基本台帳人口』のデータを基に千代田区の人口の推移を考察していきます。このデータによると、2011年以降、大幅に人口が増加していることが分かります。12年間一度も減少を見せていないことや現在進められている再開発事業のことを考慮すると、今後も安定して増加して行く可能性は高そうです。

一方で、台東区は千代田区ほど大幅な増加は見せていませんが、安定して人口が増えていることが分かります。現在、台東区では日本郵政不動産による住宅や商業施設で構成される複合施設の建設が進められているため、今後も安定して人口が増えて行くことは間違いなさそうです。

3-2.秋葉原駅がある千代田区全体の人口予測

将来的に秋葉原の人口が増加するのか、秋葉原駅がある千代田区のデータを基に考察していきます。千代田区が発表した『平成27年 千代田区人口ビジョン(素案)』によると、2055年をピークに横ばいに転じ、少しずつ人口が減少して行く見込みです。

しかし、2021年現在『平成27年 千代田区人口ビジョン(素案)』で予測された人口数を大幅に上回っていることを考慮すると、将来的に安定して増加して行くことを期待できます。

3-3.交通機関の乗車率から見る利便性


参考:JR東日本発表資料より

次に、JRが発表した『各駅の乗車人員』のデータを基に、JR山手線・京浜東北線の乗車客数の推移を確認していきます。2005年にオンエアされた『電車男』の影響もあり同年以降、秋葉原駅の利用者は増加傾向でした。ですが、2019年には、約1万人減少を記録しています。

とはいえ、同年にJR東日本が発表した『各駅の乗車人員 2019年度ベスト100』を見ると、年度末に発生した新型コロナウィルスの影響を受けて、ほとんどの主要駅が前年に比べて減少しているため、あまり気にする必要はありません。全体的には上昇傾向といえます。

3-4.秋葉原の土地の価格の推移

参考:国土交通省発表の地価調査より

次に、秋葉原駅周辺の土地の価格を確認していきます。上記は、商業地域に区分されている『千代田区5-4(東京都外神田4−1−1)』の地域のデータを基に、2007年から2020年までの価格をグラフにまとめたものです。

2008年に高値を記録して以降、リーマンショックの影響もあり5年間土地の価格は下落し続けていました。しかし、2013年から始まったアベノミクスの影響を受け、2015年を機に13年間で80万円/㎡(33%超)増加していることが分かります。

このことから、今後の秋葉原の土地の価格は国を代表するポップカルチャーの聖地として外務省のバックアップを受けていることや再開発事業の発展により、まだまだ価格の上昇は続きそうです。

3-5.秋葉原駅周辺の中古マンションの推移

最後に、ライフルホームズが発表している『住まいのインデックス』のデータを基に、実際の秋葉原駅周辺の中古マンションの価格推移を確認します。まずは、下記のグラフをご覧ください。

引用:住まいのインデックスより

上記のデータを見ると、直近3年間で中古マンションの価格が約7%上昇していることが分かります。

また、2020年に発生した新型コロナウィルスの影響を受けている不動産が多い中、秋葉原駅周辺の不動産は大きな打撃を受けていません。このことから、今後も右肩上がりを推移して行くことが期待されています。

4.秋葉原の地盤や災害の影響

ここからは、不動産を購入するうえで知っておくべきポイントである、災害時の影響について解説していきます。近年、首都直下型地震がいつ発生してもおかしくないと言われているため、秋葉原も大きな影響を受けるのでないかと不安視されています。

では、実際に想定される影響はどの程度のものなのでしょうか?
地震情報サイト、JISが発表した『東京都千代田区外神田・地域別危険度』を見ると、外神田1〜6丁目までの地域で軟弱な地盤だと警告されています。

このため、秋葉原周辺は、大規模な地震が発生した際に揺れが増幅されやすく比較的危険度の高い地域だと言えます。もし、あなたが秋葉原の不動産を購入検討中であれば、『耐震基準の高い物件』を購入することが重要です。

4-1.秋葉原のハザードマップや対策

秋葉原駅がある千代田区は、神田川や荒川が隣接しているため、大規模な降雨による川の氾濫が懸念されています。このため、それぞれの川が氾濫した場合を想定して、川別にハザードマップを作成しています。

引用:千代田区(荒川)より

引用:千代田区(神田川)より

このマップを見ると、荒川や神田川が氾濫した場合、秋葉原駅周辺は大きな影響を受けると想定されています。特に、荒川が氾濫した場合の被害は大きく、場所によっては1m〜3m浸水することが想定されているため、不動産を購入する際は注意が必要です。秋葉原の不動産を購入するのであれば『5階以上の不動産』を購入することをおすすめします。

5.秋葉原の不動産価値の上昇を期待できるが、災害や治安による不安視が拭えない?

世界中から注目を集めている秋葉原は、現在進行中の再開発事業により、より多くの人で賑わう活気に満ちた街へと進化しようとしています。特に万世橋地域のエリア別に進行している再開発事業が完成すると、物や情報の先端性の発信地として街全体の価値が高まることは間違いありません。

しかし、災害や水害による影響を受けやすいと警告されているため、注意が必要な地域でもあります。そのため、どの地域や不動産を購入するかが重要です。中には3m浸水すると想定されているエリアもあるため、ハザードマップを良く確認しておくようにしてください。