不動産市況ウォッチ

2021/04/07

本当に住みたい街大賞を受賞した武蔵小山、大規模な再開発でさらに価格上昇が進むのか?

東京都品川区と目黒区をまたいだ位置にある武蔵小山は下町風情とベットタウンが融合した街です。今も下町風情を残した商店街や高級住宅街のようなタワーマンションがあり、それぞれの良いところを兼ね備えています。

また、2020年1月に街の温もりや日本の味わいへの思いを呼び起こす番組『あなたの駅前物語』にて武蔵小山で特集が組まれたほど、注目度が高い人気エリアでもあります。都心に近い利便性を兼ね備えているうえに、人情味溢れる雰囲気が漂っているため、幅広い年代の方から支持を受けているためです。

このことは、2021年に地域住民のリアルな口コミで構成されたサイト23WARDS IN TOKYOが発表した『住みたい街ランキング』で4位、同年に住宅ローン専門金融機関ARUHIの『本当に住みたい街シニア編』では1位を獲得したことからも見受けられます。

さらに、現在大規模な再開発事業が進んでいることを考慮すると、今後も継続して高い人気をほこることは間違いなさそうです。しかし、不動産の購入を検討する際、人気がある地域だという情報だけで決断するのは個人的におすすめ出来ません。

そこでこの記事では、武蔵小山の特徴や利便性、将来性を不動産購入の観点から詳しく解説していきます。最後まで読み、武蔵小山の不動産を購入する際の参考にしてください。

1.東京、武蔵小山はどのような街か?

武蔵小山は1923年に現在の武蔵小山駅である目黒蒲田電鉄『小山駅』開業以降、区画整理が行われ住宅地として発展した街です。現在の武蔵小山駅東側や南側は当時整備されたままの街並みが立ち並んでいます。

一方、武蔵商店街や一般的な銭湯の料金で入れる天然温泉『武蔵小山温泉 清水湯』などの名所もあり、街の賑わいは衰えていません。

また、東京の主要駅へのアクセスが良く、大都会のイメージがあるにも関わらず家賃や物価が相対的に安く設定されていることも高い支持を得ている一因だと思います。実際、近隣の街とホームズを使って、比較してみると、武蔵小山駅周辺は一人暮らし向け物件で、約120,000円になっています。それに対し、同駅から2駅にある目黒駅はそのブランドからか、約145,000円が家賃相場です。隣接する駅でも約20,000円も差があるため、コスパを踏まえ、武蔵小山の方に人気が出るのもうなずけます。

1-1.下町と高級住宅が融合した生活しやすい街


武蔵小山には1956年にオープンした、街の代名詞とも言える『パルム商店街(武蔵小山商店街)』があります。完成当時、約470mの長さを誇っていたため『東洋一のアーケード街』と国内から注目を集めていました。

その後も商店街は延長され、現在は武蔵小山駅から中原街道まで全長約800mあり『東京で最も長いアーケード商店街』の異名を持っています。商店街の中には全250店舗あり、人気輸入雑貨店『カルディ』や人気パン屋『パンの田島』など、生活に必要な物が全て揃っている利便性の高いエリアです。

一方で、武蔵小山駅周辺では現在進められているパルム商店街や隣接する戸越商店街の都市機能向上や、2019年12月に武蔵小山パルム駅前地区市街地再開発組合によるタワーマンションが完成したことにより、街の近代化が進んでいます。このため、将来的に下町と高級住宅が融合した魅力的な街になるはずです。

1-2.東京都内の主要駅にアクセスしやすい交通網

武蔵小山駅は東京と神奈川を結ぶ『東急電鉄目黒線』が通っています。同線から約3分で行ける目黒駅を利用することで、渋谷駅まで約14分、品川駅まで約15分で行くことが可能です。

また、目黒線は急行が出ているため、目黒駅まで停車することなく行くことができます。このように、乗り換えに対するストレスを軽減できることも人気の一因です。

1-3.武蔵小山は比較的治安が良い地域?

ネットで調べると武蔵小山は品川区の中でも治安が良い地域だと言われています。しかし、武蔵小山駅周辺を管轄する荏原警察署が発表した『過去5年間の刑法犯の推移』を確認すると、他のエリアより犯罪件数が若干多いことが分かりました。

例えば、東五反田を管轄する大崎警察署管内では、2020年の犯罪件数が528件だったことに対し、荏原警察署管内では606件と78件多いです。

ただし、それぞれの内訳を見ると、荏原警察署管内で発生した粗暴犯の件数は少なく、大半が自転車などの窃盗事件が占めていました。したがって、犯罪件数は多いですが、危険に巻き込まれるような犯罪は起きにくい地域だと言えます。

2.武蔵小山の再開発地域


武蔵小山は現在駅周辺から広範囲に渡って再開発事業を進めています。例えば、2018年に施工した『武蔵小山駅前通り地区第一種市街地再開発事業』と呼ばれる再開発事業により、公益施設や商業施設、住居で構成される超高層マンションの建設が進められています。

具体的には、地上41階地下2階のタワー棟と9階建のレジデンス棟で構成され、全戸併せて506戸の住居が入る予定です。このまま何事もなく予定通りに行けば、「2021年6月中旬に竣工予定」となっています。

武蔵小山パルム商店街に隣接した位置に建設されているため、歴史ある商店街と共にさらなる街の活性化を担う役割を担うはずです。

『武蔵小山駅前通り地区第一種市街地再開発事業』の詳細は、以下の画像をご確認ください。

引用:住友不動産株式会社

武蔵小山の再開発はマンション建設だけに留まりません。品川区が発表した『まちづくりビジョン』を見ると、2つの軸と3つの核を中心に街の活性化と住みやすさが追求されています。

具体的には、武蔵小山駅前と旧平塚小学校跡地をつなぐ『賑わい軸』と、武蔵小山駅と林試の森公園をつなぐ『環境軸』を2つの軸として、2つの軸をつなぐそれぞれの地点を3つの核とした計画です。

具体的な『まちづくりビジョン』については、下記の画像をご覧ください。



引用:品川区HP

再開発事業について、武蔵小山駅がある品川区都市環境部に問い合わせたところ「武蔵小山駅周辺では、現在発表された地区以外でも市街地再開発準備組合が事業化等に向けて検討を進めています。」という事でした。

仮に、相次いで事業化が決定すれば、さらに街が活性化されることは言うまでもありません。これらのことをまとめると、武蔵小山は将来的に見ても目が離せない地域であると言えます。

3.武蔵小山の価値はさらに上昇、安定するか?

これまで見てきたように武蔵小山は幅広い世代が移住を希望しているほど、魅力的なエリアであることは間違いありません。しかし、武蔵小山の不動産を購入する際、人気度や再開発事業が進展している影響によって、街全体がどのように変化したのか又はするのかを知る事が重要だと思います。そこで、ここでは関係するそれぞれのデータをもとに確認していきます。

3-1.品川区・目黒区全体の人口の推移


参考:品川区・目黒区役所発表のデータを基に作成

まず、品川区全体の人口の推移を、品川区が発表した『品川区の統計』のデータをもとに確認します。2007年以降、一度も減少することなく安定して人口は増加傾向です。武蔵小山の再開発事業も大半は品川区で行われているため、今後も人口が増加していくことが見込まれます。

一方、目黒区も2020年に約400人の減少を見せてはいますが、全体的に上昇傾向です。品川区ほど大幅な増加は見られません。

しかし、武蔵小山のすぐ近くにある西小山でも再開発事業が進められているため、今後も安定して増加していくのではないかと期待されています。ただし、品川区都市環境部によると「西小山駅周辺では、品川区内で都市再開発法に基づく市街地再開発の動きはありません。」ということでしたので、問い合わせる際は管轄区を間違えないようにして下さい。

3-2.武蔵小山駅がある品川区全体の人口予測


引用:品川区HP

将来的に武蔵小山の人口が増加していくのか、武蔵小山駅がある品川区のデータを基に考察していきます。品川区が発表した『品川区の将来人口推計』によると、区の人口は安定して増加傾向に向かうことを予測されています。ですが、中位推計では、2044年をピークに少しずつ減少していく見込みです。

とはいえ、武蔵小山では2021年の竣工後にオープンするタワーマンションの入居開始を考慮すると、『品川区の将来人口推計(平成31年)』が予想した数値を上回ることが期待されます。

3-3.交通機関の乗降率から見る利便性


参考:東急電鉄HP

関東交通広告協議会が発表したデータを基に、東急電鉄目黒線の乗降客数の推移を考察していきます。2007年以降、武蔵小山で乗降する客数は上昇傾向です。

しかし、2020年に発生した新型コロナウィルスにより緊急事態宣言が発令されたため、約800人減少しています。これは人との接触を控えるために、一時的に電車を利用する方が減った事が理由だと考えられます。

都内の大半の方が不要不急な外出を控える一方、大幅な減少を見せていないことを考慮すると、武蔵小山のアクセスの良さを推察することができます。

3-4.武蔵小山の土地の価格の推移


参考:地価公示・国土交通省(標準地住所)

武蔵小山駅周辺の2つの商業地域に区分されているエリアのデータをもとに、土地の価値を確認します。上記のグラフは、『品川5-7(東京都品川区南品川3-5-5)』と『目黒5-12(東京都目黒区自由が丘1−29−9)』から2017年に『目黒5-17(東京都目黒区目黒本町5−1−2)』に変更となった地区の価格をグラフにまとめたものです。

まず、『品川5-7』から確認していきます。2008年に起こったリーマンションの影響により、約5年間価格が低下していました。しかし、2015年を機に上昇しており、過去7年間で33.8万円/㎡(50%以上)上昇しています。

一方、『目黒5-12・17』も同様に2008年にピークを迎え、一定期間価格が減少しています。理由は不明ですが、2017年に『目黒5-17』に標準地番号が変更となりました。一部、データが無い期間もありますが、2013年の底値から2020年までの7年間で45万円/㎡(40%近く)上昇していることが分かります。

現在、武蔵小山で進行中の広範囲にわたる再開発事業の進展により、今後どちらのエリアもまだまだ価格が上がっていく事を期待されています。

3-5.武蔵小山駅周辺の中古マンションの推移

最後に、ライフルホームズが発表した住まいのインデックスのデータをもとに、武蔵小山駅周辺の中古マンションの価格推移を確認します。まずは、下記のグラフをご覧ください。

引用:ライフルホームズ

このデータによると、武蔵小山駅周辺は直近3年間で中古マンションの価格が約3%上昇していることが分かります。また、11年前と比較して中古マンションの価格が約20%近く上昇している事を考慮すると、再開発事業の影響を大きく受けているのは間違いなさそうです。

現在、大規模な再開発事業が進展していることやタワーマンションの建設が進められているため、今後も手堅く上昇傾向に向かうのではないかと予測されています。

4.武蔵小山の地盤や災害の影響

ここからは、不動産を購入するうえで重要となる災害時の影響について解説していきます。似た様な名前の武蔵小杉が過去、台風でブランド価値にキズを付けました。武蔵小山駅がある品川区小山では、大規模な地震が発生した際に大きな影響を受けるのでないかと不安視されています。

実際、地震情報サイト『JIS』が発表した『東京都品川区小山・地域別危険度』を見ると、小山1丁目〜6丁目までの地域で建物倒壊危険度や火災危険度、災害時活動困難度が高いと警告されています。

つまり、災害が発生した際に倒壊や火災による二次災害が起こりやすいと予測されているということです。そのため、このエリアの購入の検討をしているのであれば、耐震性が強化され、新耐震基準を満たした物件を購入することを強くおすすめします。

参考:地震情報サイト JIS
http://j-jis.com/data/tokyo/detail/%E5%93%81%E5%B7%9D%E5%8C%BA/%E5%B0%8F%E5%B1%B1

4-1.武蔵小山のハザードマップや対策

品川区では隣接する目黒川や渋谷川などの氾濫や台風などによる大雨に備えて、最大規模降雨を想定したハザードマップを作成しています。

東京都建設局が作成した『城南地区河川流域浸水予想区域図』で想定されたデータを参考に作られているため、非常に信頼度が高いマップです。


引用:品川区HP

このマップを見ると、目黒川が氾濫した場合や総雨量690mmの最大規模降雨が発生した場合でも、武蔵小山駅周辺はほとんどの地域で影響を受けないと想定されています。

しかし、場所によっては0.5m〜1m浸水することを想定されているため、不動産を購入する際は注意が必要です。武蔵小山の不動産を購入するのであれば、『3階以上の不動産』か『浸水の影響を受けないとされているエリア』を購入するのが安心だと言えます。

5.幅広い世代から支持を受けている武蔵小山、再開発でさらに価格上昇が進むか?

武蔵小山は現在進行中の再開発事業により、『活力に満ちた街』を目指す活気ある街です。今後さまざまな再開発事業が完成すると、下町の良さに近代都市の利便性が加わるため、さらに住みやすい街になることは間違いありません。

しかし、不動産を購入するうえで懸念材料となるのが、災害時による倒壊や火災、活動困難となる危険性です。場所によっては最高ランクの警告がされている地域もあるため、軽視できる問題ではありません。

とはいえ、再開発事業の中には、防災上危険な密集地域の改善や安全な避難路の確保の計画が組み込まれています。このように、不安視されている被害を最大限抑える取り組みをしていることを考慮すると、必要以上におそれることはないと思います。仮に、武蔵小山の不動産購入を検討しているのであれば、この記事で解説した内容を参考にしてみて下さい。