不動産市況ウォッチ

2021/02/03

大規模な再開発で小岩駅周辺がより便利に新たな街並みに

今回は、江戸川区の中心地として賑わう小岩駅周辺について、まとめました。

小岩駅周辺の再開発計画も加わり、下町と近代化都市が融合された街に変貌を遂げようとしているため、多くの年齢層から更なる注目を浴びています。JR小岩駅の開業から百余年の歴史を刻んできた小岩地区では、現在複数の大規模再開発事業が進行しています。

特に、2018年にはJR小岩駅北口地区の都市計画が決定され、2020年に再開発組合の設立が認可、南口でも南小岩六丁目地区で工事が開始、南小岩7丁目地区で都市計画決定に向けた検討が行われています。

東京都江戸川区に位置する小岩は、今でも下町風情と人情が溢れる「昭和を思い出させるディープタウン」です。昭和の面影を残したスナックや商店街が立ち並び、当時の人の温かみや人間が忘れてはならない大切な心を令和にも継承し続けています。

また、2017年7月に人気タレントのマツコ・デラックスさんのレギュラー番組「月曜から夜更かし」で小岩が特集を組まれたことでも注目を集めています。「逃げたくなるなんだけど、逃げられなくなる!小岩に住んでしまったら一生小岩!」とマツコ・デラックスさんが発言したためです。「人を魅了して離れられなくなる」小岩という街はどういう街かと人々の興味を引きました。

さらに、小岩駅周辺の再開発計画も加わり、下町と近代化都市が融合された街に変貌を遂げようとしているため、多くの年齢層から更なる注目を浴びています。このように注目の街といえる小岩ですが実際に街の価値は上がっているのでしょうか?結論から言うと、既に小岩は大きな影響を受け、街全体の価値が上昇傾向にあります。

実際、2020年12月にARUHI社が発表した「本当に住みやすい街2020」で小岩は7位を獲得しました。その中でも、評価基準となる「発展性」は、5点満点中4点と高評価を得ています。そのため、今後も小岩駅はどんどん価値が高まることは間違いなさそうです。

しかし、具体的な数字で確認しないと本当の将来性や危険性は分かりません。そこで、この記事では「小岩駅周辺がどのような街なのか」、「交通などの利便性や人口増加はどうなのか」について具体的な数字を用いて詳しく解説していきます。江戸川区役所へも小岩駅周辺の再開発の進捗について、ヒアリングを行いました。ぜひ最後まで読んで、参考にしてみてください。

1.東京、小岩はどのような都市か?

小岩は千葉県と県境を接する東京、江戸川区の最東端の街です。都心や千葉へのアクセスがしやすく、昭和の名残がある懐かしい雰囲気が漂っているため幅広い世代に人気があります。

また、利便性が高いわりに他の地域と比較すると家賃や物価が安く設定されていることも高い支持を得ている一因です。東京の主要駅である東京駅に30分圏内にある小岩駅の家賃相場は1人暮らし向け物件で、約65,000円になっています。それに対し、同圏内にある吉祥寺駅は約80,000円前後が相場です。同じ利便性の高さでも小岩の方が安く住むことが分かります。そのため、住みやすいと感じる方が多いようです。

1-1.東西の移動がしやすい交通網

江戸川区まちづくりだよりを参考にJR小岩駅周辺まちづくりについて、考えていきます。小岩は千葉県と隣接している街であるため、同県と東京都を繋ぐ「JR 総武線」が通っています。そのため、新宿駅や千葉駅まで乗り換えなしの約39分で行くことが可能です。

また、現在進行中の再開発事業により、小岩駅北口の北口通りが9mから18mに拡張され、駅前広場が整理されることで路線バスやタクシーの乗り入れも可能となります。そのため、将来的にさらに利便性が高くなることは疑う余地がありません。多くの人が持たれている小岩のイメージはガラッと変わることになりそうです。

1-2.下町の佇まいと近代化都市の融合した住みやすい街

小岩には、地域密着型の「フラワーロード」、「昭和通り商店街」、「サンロード」の3つの商店街があります。これらの商店街の周りには、居酒屋やスーパーなどもあり、小岩は下町の佇まいを保ちながら非常に利便性の高い街です。しかし、現在進められているタワーマンションや商業施設の建設により、街の近代化も進んでいます。下町と近代都市が融合した便利かつ魅力の高い街に小岩は変化しようとしてます。

1-3.小岩は治安が悪いと有名だが、実際は?

小岩は、住みやすく魅力的な街であることは間違いありませんが、治安が悪いというイメージがしみついているため、引っ越しや移住をためらう人は少なくありません。実際に、駅前周辺には風俗街や朝方まで営業している飲み屋が多いため、犯罪が後をたたず、平成26年には「都内で最も犯罪が多い区」に認定されました。そのため、「治安が悪い」、「小岩に近寄ってはいけない」と多くの人が疎外感を示したのも事実です。

1-3-1.行政の取り組みで安全な街へと変われるか?

では、現在の小岩はどのような状況なのか警視庁のデータを基に具体的に見ていきます。小岩がある江戸川区は都内で犯罪が多い区に認定されたことを真摯に受け止め、改善を図るために警視庁や自治体、地域住民と連携し「安心して歩ける街づくり」と呼ばれる取り組みを開始しました。

具体的には、昼や夜にパトロールを行うことで、犯罪を犯す隙を与えないようにする取り組みです。それにより、最も犯罪が多い2000年から2019年の19年間で犯罪件数を約75%減少することに成功しています。

ただ、完全に犯罪が無くなったわけではありません。他の区と比較して、江戸川区は依然として暴行や傷害などの凶悪性の高い犯罪件数が多いため、絶対に安全だとは言い切れません。したがって、これらのことを考慮して「安全な街へと変貌しつつある小岩」と言った方が正しいと思います。

2.小岩エリアの再開発地域の状況

現在、小岩では「小岩駅北口地区第一種市街地再開発事業」による、住宅や商業施設、保育所施設などで構成する複合施設の建設が進められています。具体的には、地上31階地下1階の高さを誇るタワービルを拠点に、周辺地域の整備や都市機能の更新することで「100年栄えるまち」を目指しています。

しかし、小岩の再開発はそれだけではありません。防災性の向上や交通広場などの都市基盤など、細かいところも再開発されています。具体的な北口再開発の詳細は、以下の画像をご確認ください。

引用:すべて小岩駅北口地区第一種市街地再開発事業

「小岩駅北口地区第一種市街地再開発事業」は、2020年に市街地再開発組合の設立が認可され、2029年に全ての事業が完了する予定です。完成までに時間がありますが、大規模な再開発が進められているため、今後も街の活性化が期待されています。

これまで再開発エリアの不動産を見てきた経験では、計画発表後、現実化するまでかなりの時間があるので、その進捗と共に周辺の不動産価格も上がってくるイメージです。その為、急騰時に焦って買うことはないと思いますが、じっと見てても、価格が下がることはなさそうです。郊外の何もイベントがない地域と比較して、価格の交渉は本当に難しいです。

3.小岩の価値は今後上昇するのか?

既述の通り、小岩は再開発事業もあり、街自体が住みやすいエリアであることは間違いありません。しかし、小岩の不動産を購入する際は、住みやすい街として人気が高まったことや再開発事業が進展している影響によって、小岩の街がどう変化したのかが重要です。関係するそれぞれのデータをもとに確認していきます。

3-1.江戸川区全体の人口の推移


参考:江戸川区役所記載情報より弊社作成

上記は、江戸川区が発表した「町丁目別世帯と人口・年齢別人口報告」のデータをもとに、グラフにまとめた区全体の人口の推移です。2001年以降、区全体の人口が増加傾向にありましたが、2012年に「最も犯罪が多い区」と認定されたことをきっかけに、一時人口は減少していました。しかし、行政の取り組みによる犯罪減少結果を受け、徐々に住民が増加傾向に向かっていることが分かります。

3-2.江戸川区全体の人口予測

引用:江戸川ビジョン

では、今後将来的に小岩の人口がどのように変化していくのか、江戸川区が発表した「江戸川ビジョン(平成28年発行)」のデータをもとに考察していきます。このデータによると、総人口は今後も増加傾向に向かうことを予測されていますが、2030年をピークに減少していく見込みです。再開発完了時が最も人口が多いタイミングになりそうです。

しかし、2020年現在に予測された人口数よりも約7,000人増加していることや2026年竣工後にオープンする小岩駅北口のタワーマンションの入居などを考慮すると、「江戸川ビジョン(平成28年発行)」の予測を上回る人口数を期待できます。この辺りは追加の再開発のプラン発表や周辺エリアの開発により、変わってくると思います。ただ、何もなければ、他の地域と比較し、人口は減少する可能性が高いと思います。

3-3.交通機関の乗車率から見る利便性

参考:JR東日本発表の数字を基に弊社作成

JR東日本が発表している「各駅の乗車人員」のデータをもとに、小岩駅を通っているJR総武線の乗車客数の推移を考察していきます。2009年以降、約4年間利用者数が減少していました。

しかし、2015年の人口増加に伴い小岩駅を利用する人は年々増加傾向です。増加傾向に向かっている理由として、千葉と都心部に直通でアクセスできることが挙げられます。通勤ストレスを軽減したい方にとって大きなメリットとなるため、そのことを目的に引っ越してくる人が増加したのです。

3-4.小岩の土地の価値の推移

参考:地価公示のデータを基に弊社作成

小岩の土地の価格も上昇傾向です。ここでは、商業地に区分されている「江戸川5-1(東京都江戸川区西小岩1-23-13)」のデータをもとに、2006年から14年間の価格を上記のグラフにまとめたので、確認してみてください。

2008年に一度ピークを迎え、同年のリーマンショックの影響により低迷しましたが、大幅な減少は見られず一定水準を維持していました。しかし、アベノミクスが始まった2013年を機に大幅に上昇しており、14年間の間で約48万円/㎡、50%超も上昇していることが分かります。

さらに、2020年の東京都全体の商業地の前年比が6.48%だったのに対し、小岩はほぼ同水準の6.41%上昇でした。これらのことから、江戸川区小岩の価値はイメージとは異なり、見過ごされることなく、今後も上がると期待できます。

3-5.駅周辺の中古マンションの価格推移

ライフルホームズが発表している「住まいのインデックス」のデータをもとに、小岩の中古マンションの価格推移を確認します。まずは、下記のグラフをご覧ください。

引用:住まいのインデックス

現在小岩の標準的な中古マンションの価格は、港区や渋谷区など再開発が大規模で行われている地域と比較すると出遅れて居るように見えますが、10年前と比較して約3割近く上昇しています。ここ、1〜2年は少し減少傾向でしたが、2020年に入り、直近10年間最高値近くまで上昇してきました。

既述のような大規模な再開発が進展しや人口の増加が続くこと、そして、住みたい街として認知度が高まっていることを踏まえると、今後も手堅く、上昇傾向が続くのではないかと思います。

4.小岩の地盤や災害の影響は?

ここからは不動産を購入する上で大切な災害による影響を見ていきます。多くの人の記憶にあると思いますが、2019年の大雨により、多摩川を含め、氾濫が起きました。そして、小岩がある江戸川区は水害による災害がとても懸念されています。なぜなら、荒川や江戸川、利根川の最下流に江戸川区が位置しているからです。

仮に大雨が降り、全ての水が集まってしまう事態に陥ると、江戸川区のほとんどの地域が浸水すると予測されています。最大で10m以上の深い浸水となり、長いところでは1〜2週間以上浸水が続くと言われているのです。

さらに、小岩が受ける災害はそれだけに留まりません。地震情報サイト「JIS」が発表した「東京都江戸川北小岩・地域別危険度」のデータを見ると、北小岩のほとんどの地域の地番が軟弱だと診断され、地震が起きた場合に危険度が高い地域だと予測されています。これらのことを考慮すると、小岩は災害による影響を受けやすい地域であると言えます。購入される時はその辺りをキチンと考え、対策が必要です。

4-1.小岩のハザードマップや対策

江戸川区では災害が発生した場合を想定して「水害ハザードマップ」を作成しています。

引用:江戸川区

地域のほとんどが水没する恐れがあることから、各地域別にどのくらい浸水するのかを詳細に予測しハザードマップに記載しています。さらに、下記の画像のように、詳細な避難方法も発表しているので、確認するようにしてください。これらを読むことで「いざ災害が起こった際、どのような行動を取れば良いのか」がひと目でわかります。

引用:江戸川区

これらの通りに避難することで、命は助かる可能性が高いです。しかし、一度災害が起こり、物件内に浸水してしまうと資産価値は一気に落ちてしまう可能性があります。例えば、東日本大震災直後の浦安や新浦安は液化減少で価格を大きく下げています。

そのため、水害の可能性があることも十分に留意したうえで購入しなければいけません。例えば、マンションであれば、3階以上にしたり、川の近くは避ける等、その場その場で考え、対応していく必要があります。

リスクを考慮しつつ、大規模な再開発計画でより魅力を増す小岩

小岩は再開発事業により、「100年栄える街」を目指しているこれからの街です。これらの再開発が完成すると、下町の良さに近代化都市の利便性が融合するため、住みやすく魅力的な街になることは間違いありません。今後、人口増が進み、土地の価格上昇も見込めることから不動産購入を検討している方も多いはずです。

しかし、周辺地域の大雨や地震による水害で江戸川区全域は水没する可能性もあります。そのため、一般的な不動産を比較して、ハザードマップ等を参考により慎重に検討した上で購入することが重要だと思います。

ここまで述べてきた小岩の情報をまとめると、再開発エリアとして魅力的な街なのは間違いありません。しかし、江戸川区全域の水害による水没のリスクを十分に考慮し、その対策を実行又は確認した上で購入するべきだと言えます。