不動産市況ウォッチ

2021/01/21

再開発の最前線、豊洲は住みやすさの全てを兼ね備えた魅力な街?

東京都江東区に位置する豊洲は、2020年10月に地域密着系都市型エンターテイメント番組「アド街ック天国」によって3回目の特集が組まれたほど、国内でも注目度が高い人気エリアです。初回は、再開発が開始された直後の2006年に初めてこの番組に取り上げられ、多くの人に認知される街になりました。

かつては、東京のエネルギー基地として活用されていたため、豊洲を利用する人は作業員や会社員が大半でした。しかし、自然と住居や商業施設が融合した街に変わったことで、街中どこを見てもファミリー層を始め、幅広い層が週末の憩いの時間を楽しんでいます。

さらに最近では、東京オリンピックの招致や豊洲市場の開場も加わったことで、国内だけに留まらず、海外の方にも人気が急上昇しているのです。では、実際に、再開発やメディア、東京オリンピックの影響により、豊洲の価値はどのように変化しているのでしょうか?

結論から言うと、再開発が始まってから豊洲の土地の価値は年々上昇傾向にあります。

そのことは、2020年に住友不動産販売が発表した「2020年版 江東区人気マンションランキング」で上位10位の内、豊洲のマンションが半数を占めていることからも見受けられます。さらに、今後も大規模な再開発事業が進んでいることも考慮すると、継続して価値が高まることが期待されているのです。しかし、不動産購入を検討する際、これだけの情報では個人的に不充分だと思います。

そこで、この記事では「豊洲がどのような街なのか」、「利便性や人口増加はどうなのか」について不動産購入の観点から詳しく解説していきます。最後まで読んで頂き、不動産購入を検討する際の参考にしてみてください。

参考:テレビ東京住友不動産販売

1.豊洲はどのような都市?

豊洲は大正初期に埋立事業により成形後、長い年月をかけた再開発事業によって現在の街並みへと変化しました。元々、上記でも述べた東京のエネルギー基地として活用されていましたが、1990年代に企業が造船事業を廃止したことをきっかけに、2005年以降一気に再開発が加速されたのです。そこに、「アーバンドック ららぽーと豊洲」などの大型商業施設や数多く建ち並ぶタワーマンションの建設も加わり、さらなる近代化都市へと一気に変貌を遂げました。

そのため、豊洲は、大抵の用事を豊洲の街の中で済ますことができ、非常に利便性が高い街といえます。さらに、主要都市である東京や品川駅へ短時間で行けるアクセスの良さも豊洲の魅力の一部です。

参考:三井住友トラスト不動産

1-1.ファミリー世帯に人気がある

現在、豊洲はファミリー世帯に非常に人気があります。その理由は、海が隣接しているエリアであることを最大限に活かした、「豊洲ふ頭内公園」や「春海橋公園」などの大型公園が整備されているからです。特に豊洲ふ頭内公園は「豊洲ぐるリパーク」と呼ばれ、豊洲公園、豊洲六丁目公園など4つの公園で作られた超大型公園があり、週末多くの家族が利用しています。

23区の大半の地域は都市型になっているため、自然を感じながら遊ぶ体験が出来る場所は多くありません。そのため、このように木々や海を身近に感じながら子供を遊ばせられる場所のある豊洲は、親世代にとって非常に魅力的な地域になっているのです。

参考:江東区 豊洲ふ頭内公園

1-2.ゆとりを持てる交通の便

豊洲駅は、東京メトロ有楽町線とゆりかもめ線の2路線が通っています。そのため、多くの企業が密集する東京や新橋駅まで19分、有楽町駅まで13分と20分圏内でいくことが可能です。

したがって、朝の通勤にゆとりを持つことができます。子供の通学や登園を見送ることができるうえ、資格勉強など朝の時間を有効活用することも可能です。このように、家族や自身のために時間を使うことができることも人気の一因です。

1-3.豊洲市場の開場

2018年10月に新たな「日本の台所」となる「豊洲市場」が開場しました。従来の築地市場の約1.7倍の規模を誇り、閉鎖型施設にしたことにより、魚介類の鮮度を保つことが可能となった新しい施設です。

豊洲市場には、見学ギャラリーやマグロ競り見学デッキが用意され、一般人も一部内部を見学できるため、人気のスポットになっています。さらに、築地市場から移転した飲食店や食料品を扱う専門街が数多く建ち並んでいるため、食事や買い物にも困りません。このように、いつでも新鮮な魚介を堪能することができることや安全性の高い食事ができることも多くの層に人気がある理由のひとつです。

2.豊洲の再開発地域




参照:一層街の魅力が高まる「豊洲ベイサイドクロスタワー」三井不動産

2006年にオフィスビルの「豊洲センタービル」が完成後、大型商業施設の「アーバンドックららぽーと豊洲」も相次いで開業しました。その再開発事業は、現在も進められており、大規模な事業計画も計画されています。商業や住宅、文化など多様な機能性が高い複合市街地路して形成を図るために計画された「豊洲地区地区計画(江東区豊洲二丁目、豊洲五丁目及び六丁目各地内)」が代表的です。

それにより、街や交通の整備、大型商業施設やタワーマンションの建設がどんどん進められ、活気がある魅力的な街となっています。具体的な詳細は、以下の画像をご確認ください。

参照:豊洲地区地区計画PDF

さらに、豊洲二丁目駅前地区で、三井不動産株式会社が再開発を現在進行形で進めています。具体的には、街区名を「豊洲ベイサイドクロス」と命名し、最先端の機能を兼ね備えたオフィスゾーンやバラエティ豊かな商業施設など、一層街の魅力が高まる「豊洲ベイサイドクロスタワー」が2020年8月に開業しました。これにより、今後も街の活性化や海外訪問客の需要が高まることが期待されています。

3.豊洲の価値はさらに上昇するのか?

ここまでの解説で、再開発やオリンピックの招致により継続して注目されているエリアであることはご理解いただけたかと思います。では、ここからは、「より具体的にどのように豊洲が変わったのか」や「今後の人口増加は見込まれるのか」をそれぞれのデータを基に解説していきます。

3-1.江東区全体の人口推移

参考:江東区役所発表の数字を参考に弊社が作成(2006年から2020年まで)

上記は、江東区が発表した「世帯と人口の増減表」のデータを基に、グラフ化した区全体の人口の推移です。再開発が活性化した翌年の2006年以降、14年で約95,000人以上の人口が増加していることが分かります。

今後も、豊洲の再開発が進んでいることや地上48階、総戸数1,152戸の超高層マンション「ブラインズタワー豊洲」の入居が2022年3月から開始されることを考慮すると、上昇傾向に向かうことが見込まれます。

参考:日本の超高層ビル

3-2.江東区の全体の人口予測

参考:人口問題研究所

なぜ将来的に豊洲の人口の増加傾向に向かうと言えるのか?人口問題研究所が発表した「将来推計人口(2018年3月統計)」のデータを基に考察していきます。このデータによると、2020年の江東区の総人口は約52万人と、現在より5~6万人、増加することが予測されています。

しかし、2020年現在、この数値を上回る人口を推移しているため、今後も継続して「将来推計人口(2018年3月統計)」を上回る増加が予測されているのです。

3-3.交通機関の乗降客数から見る利便性

参考:東京メトロ発表の数字より、弊社作成

次に、関東交通広告協議会が発表したデータを基に、東京メトロ有楽町線とゆりかもめ線の乗降客数の推移を考察していきます。2010年に、地上44階建ての「シティタワーズ豊洲」のタワーマンションの建設以降、東京メトロとゆりかもめ線の乗降客数が年々高い水準を推移していることがわかります。具体的には、10年間で、東京メトロは約9万人、ゆりかもめ線は約1万3千人の乗降客が増えています。

前述の人口推移表から、この10年間で増えた人口は約5万5千人ですから、増えた人口の大半が鉄道を利用していることが分かります。このことは、豊洲のアクセスの良さゆえだと推察が可能です。

3-4.豊洲の土地の価格の推移

参考:地価公示発表資料より、弊社作成

次に、豊洲の土地の価値を見ていきます。ここでは、商業地域に区分されている「江東5-16(東京都 江東区豊洲4-1-3)」の地域のデータを基に上記のグラフにまとめました。2006年以降、上昇傾向に向かいましたが、2008のリーマンショックにより4年間価格が低迷しています。しかし、「豊洲地区地区計画」や東京オリンピックの影響により、15年間で約66万円と倍近くまで上昇していることが分かります。

また、2020年の東京都全体の商業地域が前年比約6.5%の上昇に対し、豊洲は倍の約13.6%と約2倍以上の公示価格で価格が推移したことも、今後の価値が上昇傾向に向かうと予測されている一因です。

3-5.豊洲駅周辺の中古マンションの価格推移

最後に、ライフルホームズが発表している「住まいのインデックス」のデータを基に、実際の江東区の中古不動産の価格推移を確認します。まずは、下記の中古マンション、戸建て、土地をまとめたグラフをご覧ください。


参照:住まいのインデックス

上記のデータを見ると、直近3年間で中古不動産全体の価格は、約14%近くまで上昇していることが分かります。東京都全体の標準的な物件の価格が約6%に対し、こちらも倍以上の数値を推移していることを考慮すると、将来的に、豊洲エリアのマンション価格は今後も人口の増加と共に、右肩上がりで推移していくことが予測されます。

4.豊洲の地盤や災害の影響は?

豊洲の不動産を購入するうえで、最大の懸念材料になるのが海に隣接していることによる災害と埋立地であるがゆえの地盤のゆるさだと思います。せっかく満足のいく不動産が買えても、災害に弱いのでは魅力が激減してしまうのは当然です。そこで、ここでは豊洲の地盤の固さや災害が起きた時の被害想定を確認していきます。重要なので、最後まで確認するようにしてください。

4−1.豊洲の地盤は東京23区で一番ゆるい

地盤に関する調査や分析などを行っている地盤ネットホールディングス株式会社が2016年に発表した「東京都市区町村 いい地盤ランキング」のデータを基に、豊洲の地盤について確認していきます。まずは、下記の画像をご覧ください。

引用:地盤ネット
【判定】緑:80点以上(安全)黄:55点以上(普通)赤:55点未満(注意)

こちらのランキングは、地盤ネット独自の調査データと国土地理院が発表している「浸水リスク」、「地盤の揺れやすさ」、「土砂災害リスク」、「液状化リスク」の合計5つのデータを参考に100点満点で算出したものです。上記の表を見ると分かる通り、豊洲がある江東区は23区の中でも最も点数が低く、地盤に注意が必要な地域であることが分かります。

さらに、埋立地や海が隣接している地域であることも考慮すると、災害時の液状化や浸水リスクは避けられないのも事実です。そのため、30年以内に70%の確率で起こると不安視されている「首都直下型地震」が発生した場合、豊洲のある江東区は大きな被害を受ける可能性があります。46位の葛飾区以下8地域(足立区、台東区、江戸川区など)で不動産を購入する時にはその担当者にどのような状況に陥る可能性があるのか、しっかりと確認し、購入を決める等した方が良いと思います。

4-2.豊洲のハザードマップや対策

ここでは、豊洲が災害時に受ける可能性のある被害について確認します。下記の画像は、災害が発生した時のことを想定して江東区が作成した豊洲エリア周辺の「江東区防災マップ」です。

参照:江東区防災マップ

豊洲がある江東区の「防災情報」によると、災害などによる「大きな津波に襲われる可能性は極めて低い」と発表されています。その理由は、2012年に東京都防災会議で発表された「首都直下型地震等による東京の被害想定」で算出された江東区が被災する津波の高さは、最大78cm(満潮時に発生、最大潮位T.P.+ 1.75m)だからです。

一方、江東区の東京湾内湾に設置されている防潮堤の高さがT.P.+4.47m~+6.87mと想定される津波の高さを大きく上回ります。そのことから、津波による被害はほとんどないと推測されているのです。

また、万が一、防潮堤を超える高さの津波がきた場合や隣接する隅田川の氾濫に備え、エリア別に避難所などを明確に記載したハザードマップを公開しています。津波などで被害をもたらす可能性は低いかもしれませんが、必ず確認するようにしておいてください。

5.まとめ:「再開発の最前線エリアの豊洲!リスクを考慮して購入を見極めよう!」

豊洲は、街全体の再開発事業から2020年の東京オリンピックの招致まで、国をあげての事業の中心にいるエリアです。それに加え、大手企業と連携した大規模な再開発やタワーマンションの入居開始を考慮すると、今後も注目度や人気度が高まることが予測されています。江東区のまちづくり推進課へも以下の通り、ヒアリングを行いました。

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豊洲駅周辺は、東京都の策定した「豊洲 1~3 丁目地区まちづくり方針」に基づいて、土地利用転換に合わせた計画的なまちづくりを進めているところです。豊洲駅周辺の再開発の動向として、「豊洲二丁目駅前地区第一種市街地再開発事業」によって、豊洲ベイサイドクロス等の整備を行ってきました。また、豊洲四丁目では都営住宅の建て替え工事が行われております。いずれも計画通り進捗しており、現時点で変更の予定は聞いておりません。
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しかし、豊洲の不動産を購入するうえで、リスクとなり得るのが災害による津波や氾濫、液状化です。江東区の発表によると、津波などによる災害は極めて低いと想定されていますが、地盤の軟弱さを考慮すると、一概に軽視できる問題ではないと思います。

したがって、豊洲は東京エリアの再開発地域の代表として、今後も目が離せない注目の街だといえます。しかし、もし、あなたが不動産を購入するのであれば、災害によるリスクを担当に確認し、ご家族と考慮したうえで購入することをおすすめします。

参考:豊洲地区ポテンシャル