不動産市況ウォッチ

2020/12/07

計画決定から20年、駅前再開発に沸く、上板橋は買いか、否か?

私たちがウォッチしている東京都内の再開発エリアに関して、まとめていきます。特に、これから子育てを迎え、自宅の購入を本気で検討している方向けに書いています。

日本全体、特に東京の不動産の価格は2013年のアベノミクス開始以降、高騰が続いたものの、2017年に発覚した融資関連の不手際やコロナ禍を含め、潮目を迎えつつあります。

その中で、私たちは再開発エリアを中心に地価や利用者の推移などのデータを基に将来日本経済やあなたの仕事に万が一のことがあっても、資産価値が落ちにくく、売却をすることになってもローンの完済可能性が高く、不幸になりにくい街や駅を探してきました。

この記事での目標は第二、第三の武蔵小杉や豊洲、柏駅を発見し、あなたの“人生のクサビ”になれればと考えています。

>>前回の武蔵小杉に関する記事はこちら。

1.今、再開発だけがなぜ買えるのか?

東武東上線上板橋駅南口付近

東京を中心にこれまで多くの再開発や新駅開通が行われてきました。例えば昨今、インバウンドの急増で利用者が増えた秋葉原や六本木、豊洲、そして高輪にできた新駅、高輪ゲートウェイなどがあります。

東京以外でも神奈川県川崎市の武蔵小杉や埼玉県草加市、千葉県柏市で大規模な再開発が行われ、これらのエリアの地価やマンション価格、乗降客数は住環境の整理が進むにつれて、利便性やその価格も一般的に上がっています。

その為、もしあなたに何かあった時でもローンを残さず、売却するためにはこれらイベント・ネタのあるエリアの不動産を購入するのが先の見えづらい時代には賢い戦略だと思っています。主なエリアとして、以下のようなものが考えられます。

・新駅・延線開通
(例えば、大江戸線「麻布十番」や丸ノ内線「方南町」、大江戸線「大泉学園」等)

・拡幅工事
(例えば、環状3号線や環状4号線等)

・駅前開発
(例えば、赤羽駅、上板橋駅等)

・地域開発
(例えば、豊洲や武蔵小杉、六本木ヒルズ、ミッドタウン六本木、ミッドタウン日比谷等)

・その他上記の複合(新規乗り入れを含む)
(例えば、山手線「高輪ゲートウェイ」等)

どのエリアも再開発の進捗と共に利便性だけでなく、その価格も上昇してきました。具体的な恩恵は後日、見ていきます。

2.計画決定から20年、ようやく動き出す再開発、上板橋

上板南口銀座商店街

前回の武蔵小杉駅ほど大規模ではないのものの今後、5年、10年で多く変わりそうな街があります。それは東武東上線『上板橋』駅です。

都市計画決定が平成16年に行われ、今年まで約15年間、施設計画等の変更で動かなかったものの、区域縮小や関係者の調整を経て、いよいよ動きそうな気配を見せています。

上板橋駅は東武東上線の各駅列車しか停まらないものの、池袋駅から15分以内と便利な位置にあり、隣駅であるときわ台駅と共に良好な住宅環境を形成しています。グーグルマップを見ると、メインストリートとされる黄色いエリアはときわ台駅や東武練馬駅より、圧倒的に広範囲にわたっています。今回再開発が行われる南口だけでなく、北口にもイトーヨーカドーや商店街が形成されており、街としての利便性は既に高いものと思われます。

上板橋駅南口駅前東地区第一種市街地再開発事業(板橋区決定)について、東京都都市整備局のサイトを見ると、以下のように書かれています。

当地区を含めた駅周辺地域は狭隘な道路が多く、木造住宅や店舗併用住宅などが密集しており、土地の高度利用が図られていない。

また、駅前への取付け道路が未整備であり、緊急時の交通アクセス困難など都市機能を果たせない状況にある。中略、建物の不燃化、土地の高度利用を行うことで、防災面の強化、商店街の活性化を図る。

ポイントは、『駅前商店街が雑多な状態で建物の老朽化が進んでおり、再開発を行い、幹線道路である川越街道までの道路を拡幅し、高層ビルを建て、安全で住みやすい街づくりを進めたい』という事です。

3.どのように上板橋駅南口の再開発が行われるのか?

3-1.駅前地域をA~Cの3つの街区に区切り、開発を予定

参照:公益社団法人 全国市街地再開発協会

具体的には、自転車駐輪場を中心に東、西、中街区及び南街区を作り、川越街道までの区道を幅員16mまで拡幅し、緊急車両を含め、車の出入りを容易にするようです。各街区には商業、住居、駐車場が完備され、駅前タワーマンションが建つなど、イメージとしては先に再開発が行われたJR常磐線『金町』駅*のようなイメージかもしれません。なお、途中発表されたものを見ると、事業協力者は大成建設、参加組合員予定者は住友不動産、コンサルタントはURリンケージとなっており、現状からは想像できない、かなり大規模な開発が期待できそうです。

(*金町駅は産・学・官・民一体で実現した駅前複合再開発で、駅徒歩1分のところに地下1階地上21階建、総戸数190戸のタワーレジデンス「プラウドタワー金町」が野村不動産によって建てられています)

3-2.現在の状況をヒアリングしてみると

次に、実際に板橋区の都市整備部にもヒアリングを掛けてみました。

『当初平成16年の計画決定以後、反対や話がまとまらない事もあったものの、当時より意見がまとまりつつあり、街づくりを行い、エリアを良くしていこうという機運は高まっている。』

なお、第一種市街地再開発事業で権利変換方式での市街地再開発事業だから、第二種と比べて、開発実行の確度が低いわけではなく、単にこれまで方向性をまとめるのに時間が掛かっていたとのことでした。結果的に、当初の計画と比較して、組合設立のタイミングが2020年6月から2021年3月末予定に遅れてしまっただけとのことでした。

2021年2月追記
現在、上板橋駅南口駅前地区市街地再開発事業については、都市計画決定した再開発区域を、先行区域(東地区)と検討継続区域(西地区)に分けて段階的な再開発事業を進めております。今年度の目標としては、東地区については再開発組合設立を、検討継続区域については準備組合設立を、それぞれ目指しております。

区では東地区の再開発組合設立発起人から東京都知事あてに再開発組合設立認可申請があったため、その事業計画を令和3年1月15日から令和3年1月29日まで縦覧したところです。今後の東地区の進捗等については、権利者からなる組合による再開発事業のため、以下の連絡先へお問合せください。

〒174-0076
板橋区上板橋一丁目23番9号
上板橋駅南口駅前東地区市街地再開発準備組合
℡03-6912-3426

4.上板橋駅周辺の将来予測

4-1.上板橋駅のある板橋区の人口の予測

上板橋駅のある板橋区の過去20年間の人口の推移をグラフにしてみました。奇麗な右肩上がりで増加しており、特にアベノミクスが始まった2013年以降で約3~4万人の人が板橋区に移り住んでいます。

参照:板橋区役所のHPより作成

次に、国立社会保障・人口問題研究所の推計のデータを基に板橋区と東京都全体の今後の人口の予測を見ると、東京都全体の人口は2030年までに約12万人増え、その後は減少傾向に入ると予想されています。

一方、板橋区は2040年まで約3万人増え、その後は減少傾向に入ると予想されており、今後、20年間は緩やかな増加傾向にあります。

参照:国立社会保障・人口問題研究所

更に、国土交通省が発表しているデータを基にしたリーサスで人口の推移を見てみると、池袋へのアクセスも良く、今後、5年、10年と再開発を中心に街づくりが行われてる板橋区の人口推計は都心3区、5区から少し離れた練馬区や川崎市の人口同様に増えはしないものの、減りもしないと予想されています。

ちなみに、同じ再開発が行われた北千住のある足立区、金町のある葛飾区、小岩のある江戸川区だけでなく、北区や中野区、新宿区等も人口の減少が見込まれています。

4-2.上板橋駅の利便性を知る、乗降客数の推移

参照:東武電鉄発表より作成

次に、東武東上線が発表している一日の平均乗降客数の推移を見てみます。上板橋駅の乗降客数は板橋区の人口の増減とは相関が少なく、2015や2016年あたりに池袋駅再開発の準備組合が出来て以降、右肩上がりで増えています。

具体的には、過去10年で3,000人ほど増えています。上板橋駅は城北中央公園等住環境がよく、新宿や渋谷、西日暮里駅まで30分程度の利便性の良さを踏まえ、今後駅前再開発をきっかけに利用者の増加が見込まれます。

4-3.土地価格はどうなのか?

参照:地価公示より作成

同様に、上板橋駅周辺の地価について調べてみました。ここでは毎年発表されている地価公示の内、中低層の店舗ビル等が建ち並ぶ駅に近い商業地域にある板橋5-7(東京都板橋区上板橋1-21-4)について、過去20年超の推移をまとめました。

上板橋駅周辺では、2004年の都市計画決定以降、2008年リーマンショック以降一旦下がったものの、景況感の回復と共に今年の発表分まで継続的に10年程度地価が上がっています。今後再開発が進められる環境で地価の更なる高騰が見込まれます。

4-4.多くの人が買うマンション価格はどうなのか?

最後に、東京カンテイが発表しているファミリー向け中古マンションの坪単価の推移をまとめました。

4-4-1.上板橋駅周辺の中古マンションの単価の推移

参照:東京カンテイ発表のデータを基に加工

中古マンションの単価のトレンドを知るため、東京カンテイによる築10年程度で平均専有面積60平米程度のマンションの坪単価を基に推移グラフを作成してみました。アベノミクスが開始以降、2015年以降5年間で単価を基に判断すると、15%以上の上昇を見せています。直近の取引事例を基に推計すると、2019年と2020年の坪単価はあまり変わっていないようです。

武蔵小杉他再開発エリアの例を参考にすると、今後、再開発工事が進み、マンションやビルが建つタイミングで、このトレンドは強く出てくるものと推測されます。

5.再開発に沸く、上板橋の結び

不動産市況ウォッチでは、主に、私たちが注視している東京都内の再開発や新駅開通等の計画初期段階での不動産購入を目指し、街の成長や資産価格向上の恩恵を時間の経過とともに受けることを目的に、将来あなたに何かあった時を含め、不動産を売却しても現金が残る安心して購入できる街をデータから探していきます。


参照:ジオテック株式会社

今回見た上板橋駅周辺の不動産価格は、コロナ禍による郊外ターミナル駅への移住を求める影響が今後出てくる可能性がありつつも、下記図面のようにときわ台から東武練馬エリアは台地面にあり、海抜高度が高く、起伏の少ない平坦面になっています。関東ローム層と呼ばれる火山灰土で覆われ、自然堆積したローム土は、安定しており比較的大きな強度が期待でき、表土部分に注意すれば住宅地盤として良好な場合があります。

さらに、城北中央公園を軸とした住環境の良さと今後、5年、10年間で行われる再開発を前提に考えると、今後マイナスに進む可能性が考えづらく、また、池袋駅への利便性を備えた板橋区全体の人口の推移と合わせ、これらの資産価値が伸びることはあっても、急速に萎む可能性な少ないものと思われます。